東海村臨界事故被ばく患者さんについて(第29報)




平成11年10月30日(土)
17:00         
東京大学医学部附属病院   



1.患者さんの臨床経過

  • 血圧:126/72mmHg、脈拍数:120/分、呼吸数:16/分、
    体温:37.4℃(午後3時現在)

  • 引き続き鎮静薬投与下、人工呼吸管理中です。

  • 呼吸機能には大きな変化はありません。

  • 腎機能障害の程度はやや改善しました。

  • 高い線量の被ばくがあったと推測される皮膚及び粘膜の障害が大きな問題となっています。放射線熱傷の範囲が右側背部にまで拡大しました。特に両側の手の状態には厳しいものがあります。

  • 血小板の輸血をなお必要としていますが、造血機能は回復しつつあります。

  • 末梢血中の白血球数は、12,700/mm3です(午前6時現在)。

  • 下痢が続いていますが量は減りました(午前零時から午後4時までの間に615g)。

  • この下痢が移植片対宿主病の徴候である可能性は否定できませんので、治療を行っています。しかし、放射線による大腸の障害であることもまた否定できません。

  • 依然として、明らかな感染症の徴候はありません。

2.今後の治療方針

  • 放射線熱傷創の感染防止に努めています。

  • 移植片対宿主病を疑い、治療を継続します。

  • 引き続き、人工呼吸管理、感染症対策、栄養管理、輸液管理等のきめこまかな全身管理を行います。

3.その他

  • 依然として予断を許さない状態が続いています。