東海村臨界事故被ばく患者さんについて(第22報)
平成11年10月23日(土)
17:00
東京大学医学部附属病院
1.患者さんの臨床経過
全身状態は基本的には昨日と大きな変化はありませんが、放射線による皮膚、粘膜の障害が進行しています。
- 血圧:120/62mmHg、脈拍数:120/分、呼吸数:20/分、
体温:38.5℃(午後3時現在)
- 引き続き、人工呼吸管理中です。
- 肺の状態は、X線写真上も機能的にも大きな変化はありません。
- 腎機能障害に大きな変化はありません。
- 顔面を含めた上半身前面の放射線熱傷部の水疱化と上皮の脱落がさらに進み、放射線熱傷の様相が明らかに変化しています。口腔粘膜の放射線障害も現れました。しかし、これらの変化には明らかな感染を伴ってはいないと思われます。
- 赤血球、血小板の輸血をなお必要としています。
- 末梢血中の白血球数は、10,700/mm3です。
- 38℃台の発熱がありますが、依然として明らかな感染源は不明です。
- 濃緑色の排便が3回ありました。
2.今後の治療方針
- 放射線皮膚、粘膜病変の感染予防に努めます。
- 移植片対宿主病の予防、早期予知と治療に努めています。
- 引き続き、人工呼吸管理、感染症対策、栄養管理、輸液管理等のきめこまかな全身管理を行います。
3.その他
- 依然として予断を許さない状態が続いています。