パスを回しながらウオームアップする田口(右)と永井=トヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスのMF田口泰士(21)が26日、G大阪の日本代表MF遠藤保仁(32)に挑戦状をたたきつけた。ACLとの日程の兼ね合いで延期されていた第9節に向け、チームは愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで最終調整した。この試合も中盤の底で起用されることが濃厚な田口にとって、同じポジションの遠藤はDVDを見て研究してきた相手。個人として超えるにはまだ遠い存在だが、「チームとして勝てればいい」と3連勝を誓った。
画面の向こうで何度も目に焼き付けてきた名手との初対決に、若きパサーが心を躍らせた。「楽しみですね」。勝てば首位仙台との勝ち点差が「5」に縮まる重要な一戦。巻き返しの3連勝へ、田口が意気込んだ。
ボランチ陣の相次ぐ故障により、5月25日のC大阪戦から巡ってきた中盤の底というポジション。当初は戸惑ったが、飛騨古川キャンプを経てレギュラーの座をつかみつつある。16日の鹿島戦後、久米GMはそんな田口に1枚のDVDを手渡した。「技術はあるが、ボランチでやってこなかった選手。ポジショニングやタイミングなど、あの位置でプレーするなら見ておいたほうがいい」。その中身は、約5分間にまとめられた遠藤のプレー集だった。
攻撃的なポジションだったこれまでは、遠藤は特に意識してこなかった選手だ。それだけに感想は「全然難しいことはない、ちょっとしたプレーの連続」だった。しかし繰り返し見ていくうちに、「勉強になる」と日本屈指のボランチのすごみを感じるようになった。
G大阪戦では直接肌で感じて学ぶことも多そうだが、田口は「試合なんで、そういうふうには見られない」と神妙に話す。まだまだミスもあり、この日の戦術練習でもDF闘莉王から「気を抜くな!!」と喝を入れられながらプレーした。勉強という気構えで臨めば、遠藤の経験と技術に飲み込まれてしまう。学ぶのではなく、倒す。勝利こそが、成長の最大の糧となる。 (宮崎厚志)
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