関西電力の株主総会は27日午後も続き、筆頭株主の大阪市や、神戸、京都市が求めた「脱原発」などの株主提案は全て否決された。原発推進の経営方針を転換させるには至らなかったが、3市長が自ら会場で訴えて一定の賛同を得た。
関電の八木誠社長は総会後の記者会見で、3市をはじめ株主から「脱原発」を求める意見が相次いだことに対し「原発は重要な電源。意見は十分認識するが、脱原発の方針は全くない」とあらためて強調した。
神戸市の矢田立郎市長は記者会見で「否決は残念だが、今後も必要に応じて提案、対話を続ける」と述べた。大阪市の橋下徹市長は記者団に「倒産がないことが前提で、リスクへの対応を全く考えていない」と関電の経営姿勢を非難した。
株主提案は3市分の13案を含め過去最多の計28案。議決権ベースで大阪市は関電株の約9%、4位の神戸市は約3%など、3市で計約12・9%を保有する。
関電によると、いずれも速報値で、神戸と京都市共同の「脱原発依存」への賛成率は22%、大阪市の「脱原発」は17%と、可決条件の3分の2以上には届かなかった。
3市の他の提案では「経営情報の開示」と「取締役報酬の個別開示」が賛成率30%を超え、「社外取締役の積極採用」の38%が最高だった。「電力需要の抑制」も26%。前年の総会では株主提案への賛成率が最高で5%だったのと比べると高い。八木社長は「脱原発の考えに基づく提案は基本的に受け入れられない」と一蹴したが、今後の対応が問われそうだ。
総会の出席者数は3842人と過去最多。所要時間も過去最長だった昨年の4時間51分を超える5時間32分だった。(内田尚典、黒田勝俊)
(2012/06/27 22:10)
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