橋下政権なら原発ゼロ！？…関電株主総会で“政界進出”示唆

関電の株主総会に出席後、記者の質問に答える大阪市の橋下市長

　原発を保有する電力９社（沖縄電力を除く）の株主総会が２７日、各地で行われた。東京電力は総会で、再建のため実質国有化を受け入れることを正式に決めた。東京都の猪瀬直樹副知事（６５）は、リストラなどの一層の構造改革の徹底を求めた。関西電力の総会では、筆頭株主でもある大阪市の橋下徹市長（４２）が質問に立ち「政権が交代して国策が原発依存ゼロになる可能性が十分ある」と発言。経営陣に迫る場面もあった。

　大阪市北区梅田で行われた関電の株主総会には、関電株の約９％を保有する筆頭株主の大阪市は橋下市長が出席。数分間にわたって経営陣に質問する場面があった。

　怒号と絶叫が響く中、「脱原発」を掲げ、次期衆院選での国政進出を狙う橋下市長は「政権交代して国策が原発ゼロになる可能性が十分にある。関電はどう対応するのか」と原子力政策に触れながら“政局”にも踏み込んだ。関電側は岩根茂樹副社長（５９）らが「原発が全部停止した場合、９０００億円の代替燃料費が発生する」との試算を示し「持続的な経営は難しい」と回答。再稼働する原発の対象拡大にも意欲を示した。今夏の節電要請については、八木誠社長が「大変なご迷惑をお掛けすることになり、深くおわびする」と陳謝した。

　関電によると、所要時間は５時間３２分となり、昨年の４時間５１分を上回り、過去最長を更新。出席者も３８４２人と過去最多となった。大阪市（神戸市、京都市含む）が提出した１０の株主提案を含む全２８の株主提案はすべて否決された。

　「政権交代したら」―。橋下市長は自身の国政進出には否定的だが、代表を務める「大阪維新の会」は次期衆院選での候補者擁立を進めている。消費税増税法案を巡って民主党は事実上分裂し、政局は流動的となっている。大飯原発再稼動は当初の反対姿勢を覆して容認したものの、次期衆院選の公約となる「維新版・船中八策」には「脱原発依存」が明記されている。自身の主張を株主総会で関電にぶつけた形だ。

　総会後、会見した橋下市長は「（株主提案が）否決されたら、意味はないが、今日は第一歩。中長期的なエネルギー政策について考える、いい機会になった」と振り返った。関電に対しては「倒産がないことが前提で、リスクへの対応を全く考えていない」と批判した。

（2012年6月28日06時02分スポーツ報知）