個人事務所「幸子プロモーション」の社長解任騒動の渦中にいる歌手の小林幸子（５８）が２７日、都内の同事務所で会見した。４月に騒動が表面化して以来、心境を語るのは初めて。約５０分間、関根良江前社長らへの謝罪を繰り返したが、解任の経緯など核心には触れずじまい。その一方で「紅白は出たい。新曲も出したい」と、ＮＨＫ紅白歌合戦への出場は熱心にアピールした。
“お家騒動”の勃発から約３か月。終始落ち着いた表情で、真相についてかわしながら取材に応じた幸子だが、３３回連続出場中のＮＨＫ紅白歌合戦に話が及ぶと、強い口調で言い切った。
「紅白は出たいです。ＮＨＫ側が決めることですので何も言えませんが…出たい。新曲も出したい。何とかして、早く出してもらいたい。それを願っているだけです」
６月６日発売が決まっていた新曲「絆坂」は、騒動が起きた４月に発売延期に。毎年、紅白では新曲を歌唱してきた幸子にとって、現在は出場が危ぶまれている状況だ。恒例の豪華衣装の準備も、まだ白紙。昨年は１か月半で衣装を完成させたことを明かしながらも、紅白まで残り６か月しかない“焦り”を感じさせるような訴えだった。
冒頭、幸子側は「会見ではなく、心境を語る場」と説明。この日まで何も語らなかった理由について、周囲から「３か月間は黙っていたほうがいい」とのアドバイスを受けたからだとした。なぜ３か月なのかなど具体的に言及しなかった。
長らく支えてもらいながら、解任した前社長の関根氏と女性前専務に対して「自分の配慮が足りなかったこと、つらく悲しい思いをさせたこと。本当に申し訳ない気持ちでした」と謝罪。「ボタンの掛け違いだった。私は新しいことをやりたいけど（２人とは）考え方の違いがあった」と何年も前から原因があったと説明したが、ここでも具体的には語らなかった。
また、夫で医療関連会社社長・林明男氏が事務所の経営に関与したことが解任騒動の発端とされたことに、「芸能界には関係のない人。全くの素人で、携わっていないし、やれない」と否定した。
幸子は騒動後、関根氏に関係者を通じて何度も連絡を取ろうとしたが、取り合ってもらえなかったという。４月２８日、留守番電話に「迷惑をかけてごめんなさい。２５年間ありがとうございました」とメッセージを残したのが最後だった。しかし関係者によると、関根氏は、メッセージは残っていたもののそれ以外は何のコンタクトもないと話しているという。
幸子は代理人を通じ、関根氏らに計６０００万円を支払うことで合意。この金額については「『迷惑をかけた』との思い」と“慰謝料”の意味も含んでいるという。
騒動の解決策について「２人の怒りが収まってくれることを待つしかない」と幸子。今後、騒動への対応は一切しない方針。収束を図りたい思いとは裏腹に、あいまいな説明に終始したことで、騒動はさらに長期化しそうだ。
◆関根前社長は取材応じず
関根前社長はこの日、幸子の会見を受けて「代理人を通じて明日（２８日）、文書でコメントを発表します」と話しただけで、取材には応じなかった。幸子の発言の中に、事実と異なる部分があるという。２８日の新聞やワイドショーなどで幸子の発言を把握し、対応することになる。
◆レコード会社は静観
幸子が所属するレコード会社関係者はこの日、「お互いが『和解した』と認める完全決着まで、状況を見守り続けるだけ」と、事態を静観する考え。６月６日に発売予定だった新曲「絆坂」は現在、発売の見通しは立っていない状況という。幸子は２８日に名古屋・御園座で公演を行う。
◆小林幸子騒動の経緯
▼１９７９年 「おもいで酒」の大ヒットで紅白歌合戦初出場。担当マネジャーは関根氏。
▼８７年 関根氏と共に独立、個人事務所「幸子プロモーション」設立。
▼２０１１年１１月 林氏と結婚。以後、林氏が幸子の活動に意見するようになり、夫に同調、関根社長は孤立。
▼１２年４月 関根社長、女性専務を解任し、幸子が新社長に就任。騒動を受け、来年の活動５０周年の座長公演が白紙に。
▼同７日 幸子が騒動後、初コメント。解任に「相応の額を提示したが額に納得しなかった」。
▼同９日 関根前社長が反論。「分割払いを主張され人間性を疑われた」
▼同１２日 ６月６日に予定していた新曲「絆坂」の発売延期を発表。
▼６月２５日 約６０００万円の解決金で全面和解したと報じられたが、関根氏は和解を否定。
[2012/6/28-06:03 スポーツ報知]