「恋のフーガ」「恋のバカンス」で知られる双子の人気デュオ「ザ・ピーナッツ」で活躍した伊藤エミ（本名・沢田日出代＝さわだ・ひでよ）さんが１５日に亡くなっていたことが２７日、分かった。７１歳だった。葬儀・告別式は、親族の意向で近親者のみで執り行われた。２人は１９７５年に引退し、エミさんは近年、病気療養中だった。
日本の歌謡史に歴史を刻んだ「ザ・ピーナッツ」の姉エミさんが、ひっそりと生涯を閉じた。すでに葬儀・告別式は執り行われ、荼毘（だび）に付された。関係者は死因、死亡場所など、詳細は非公表とした。
エミさんは、一卵性双生児の妹ユミさんと都内で同居生活を送っていた。最近の様子について、近所に住む人は「１年ぐらい前に犬の散歩をしていたが、気さくに話しかけてくれた」と語った。
エミさんは小学生の頃から合唱団に参加。１９５８年に名古屋市内のナイトクラブで歌っているところを、渡辺プロダクションの渡辺晋社長（故人）、夫人の美佐副社長（現会長）にスカウトされ、ユミさんと「ザ・ピーナッツ」を結成した。
５９年に「可愛い花」でレコードデビュー。歌謡番組「ザ・ヒットパレード」、クレイジーキャッツと共演した音楽バラエティー番組「シャボン玉ホリデー」に出演し、かわいらしい歌声と息の合ったハーモニーで人気を博した。
シングル７８枚、アルバム２５枚を発表し、代表曲は「情熱の花」「悲しき１６才」「月影のナポリ」など多数。ＮＨＫ紅白歌合戦に初出場（５９年）から連続１６回出場するなど、輝かしい実績を誇る。米国のテレビ番組「エド・サリヴァン・ショー」、映画「モスラ」にも出演。「モスラ」では、モスラと交信できる妖精姉妹役で「モスラヤ モスラ ドゥンガン カサクヤン」から始まる「モスラの歌」を歌った。
２人は７５年４月の東京公演（ＮＨＫホール）を最後に１７年間の歌手生活にピリオドを打ち、引退。人気絶頂での引退は珍しく、大きな話題を呼んだ。引退会見では「これからは第２の人生、普通の生活に戻ります。これで（本名の）日出代、月子に戻れます」と話した。
エミさんは、７５年６月に歌手の沢田研二（６４）と結婚。７９年に長男をもうけたが、８７年に離婚している。
◆伊藤 エミ 本名・沢田日出代（さわだ・ひでよ）。１９４１年４月１日、愛知県出身。双子の妹・伊藤ユミと共に、小学校３年時に合唱団入団。高校時代から２人組で活動し、「ザ・ピーナッツ」として５９年、キングレコードと契約。同年、「可愛い花」でデビュー。６０年代に米国、ドイツなどのテレビ番組出演。７３年、日本歌謡大賞の放送特別音楽賞。映画「夢で逢いましょ」などに出演。
◆前夫・沢田研二は無言
全国ツアーを開催中の沢田研二はこの日、神奈川・グリーンホール相模大野で公演を行った。この日まで悲報は知らされてなく、公演後に悲報に接したが、コメントは出さなかった。
[2012/6/28-06:05 スポーツ報知]