避難区域再編:全域「帰還困難」指定を…大熊町長要求へ
毎日新聞 2012年03月28日 21時59分(最終更新 03月29日 03時20分)
東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域の再編計画で、福島県大熊町の渡辺利綱町長は28日、町全域を長期にわたって立ち入りできない「帰還困難区域」に指定するよう国に求めていく考えを町議会に示した。町議会や町民の意向を聞いて4月中に町の案としてまとめ、国と協議する。再編対象の自治体は11市町村あるが、全域を帰還困難区域とする案は同町が初めてだ。
町長の考えは、福島県会津若松市の仮庁舎で開かれた町議会の全員協議会で示された。
国は、現在全域が警戒区域になっている大熊町について、(1)帰還困難区域(2)一時帰宅できる居住制限区域(3)除染が進み、生活基盤が整えば戻れる避難指示解除準備区域−−の3区域に分割する案を提示している。
しかし、町試算によると(3)は山側の12戸23人、(2)は170戸570人しかいない。現在の人口は1万1435人(2月末)で、9割以上が(1)に入っている。渡辺町長は、ほとんどの町民が帰還できないうえ「町を分断したくない」として、全域を「帰還困難」とする対案を国に示す。区域の違いによって損害賠償額や支払い方法などが異なるため「賠償も一律として扱った方がいい」と述べた。