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経済
【主張】電力株主総会 「原発廃止」否決は当然だ
東京電力や関西電力など電力9社の株主総会が開かれ、「脱原発」を求める一部株主からの提案はそろって否決された。安定的な電力供給を果たすには原発が不可欠との判断を下したものだ。一時的なムードに流されなかった株主の冷静な姿勢を評価したい。
今年の電力株主総会は東京都や大阪市などの自治体が大株主として経営改革を迫る議案を提案して注目された。
だが、自治体と電力会社に求められているのは、安定株主と地域経済の担い手という共存共栄の関係だ。いたずらに対立するのではなく、地域の発展などで建設的な議論を進めてほしい。
関電の総会では「全原発廃止」を株主提案した大阪市の橋下徹市長自らが出席し、「新たなエネルギー供給体制を目指してほしい」と訴えた。大阪市は原発廃止までの時期限定の運転や国からの天下り受け入れ禁止も求めた。
これに対し、関電は「今後、相当の原発が稼働しないと継続的な経営は難しい」と回答した。大飯原発3、4号機が順調に再稼働しても、今夏の関西圏の電力不足は解消されない。
電力会社に対し家庭や企業への安定した電力供給を促すべき自治体首長が「原発ゼロ」を求めることは妥当だろうか。原発は国のエネルギー政策の根幹を占め、国の繁栄と安全に直結する。一自治体の判断だけでは解決しない問題だからだ。株主の多くが提案の否決に回ったのは当然だった。
東電の総会では、国から1兆円の資本注入を受けて実質国有化されることが正式に承認された。国有化を柱とする東電の総合特別事業計画では、経営基盤を安定化させるため、停止中の柏崎刈羽原発を来年度に一部再稼働させることも盛り込まれている。新たに筆頭株主となる政府は、再稼働を主導する重大な責任がある。
建設的な提言もあった。筆頭株主の東京都を代表し、猪瀬直樹副知事は「顧客第一」を定款に掲げるよう求めた。提案は否決されたが、公的資金が投入される以上、顧客志向や経営の透明性向上は当然だ。資産売却など一段のリストラにも取り組まねばならない。
全原発の停止で電力会社の経営は火力燃料費負担で圧迫されている。経営基盤の確立は安定した電力供給の要だ。そのためにも原発の再稼働は欠かせない。
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