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慰安婦謀略の背後にうごめく日韓親北左派の偽善(5)

2012/06/26 07:03

 

 「慰安婦=性奴隷」を広めた戸塚悦朗の「大罪」

 

 本稿を書くにあたって戸塚の主張を丁寧に再読してみたところ、大変興味深い矛盾点に気がついた。この矛盾は戸塚の発案した「慰安婦=性奴隷」説の根幹を揺るがすものだ。

 

 戸塚は上記クマラスワミ報告書ができるプロセスに積極的に関与していた。その頃は、性奴隷という言葉を職業的売春婦とは異なる軍による強制の被害者として使っていた。戸塚は〈韓国の「慰安婦」被害者たちは、職業的売春婦ではなかった。ごく普通の少女だったのである。それが、日本帝国軍によって、強制的に性の奴隷にされた挙句、現在でも「売春婦呼ばわり」されていることに留意すべきだ〉と書いている(「法学セミナー」958月号)。

 

 吉田清治証言のような軍によるドレイ狩りが事実であるなら、この戸塚の主張は説得力を持つ。クマラスワミ報告書が戸塚らの英語での主張にだまされ、虚偽であることが判明していた吉田証言に依拠しつつ性奴隷説を主張した経緯は先述の通りだ。

 

 しかし、慰安婦は売春婦ではなく性奴隷だという戸塚らの主張は、日本国内での論争において軍による強制連行の存在が否定されたことにより根拠を弱めていった。その上、いわゆるフェミニズム学者らから、売春婦を蔑視差別するものだと批判を受けた。そこで戸塚は、突然、「職業的売春婦も性奴隷だ」という主張をし始める。

 

 〈公娼制は奴隷制であって、国際法に違反していたと考える。仮に、当時の国内法が、この奴隷制度を合法化しても、当時の慣習国際法のもとで奴隷と奴隷取引は禁止されていた。女児・女性の人身売買を禁止する3条約(日本は25年に批准)は、女児に(本人が同意しても)売春させることを禁止し、また、成人女性を騙したり、強制したりして売春させることを禁止していた。強制労働条約(日本は32年に批准)も、女性の強制労働を禁止していた。公娼制は、これらの当時の国際法に違反し、日本政府は違反行為を犯罪として処罰する国際法上の責務を負っていた。(略)

 公娼制のもとで、娼妓は自由意思に基づいて商行為を行っていたのであろうか。そうではなく、娼妓は奴隷だった。〉(「法学セミナー」971月号)

 

 この戸塚の立場に立つなら、韓国人慰安婦だけでなく戦前の日本人娼妓らに対しても日本政府は公式謝罪し個人補償をしなければならず、また責任者を処罰しなければならないはずだ。また、同じことが1970年代までの韓国の売春婦らに対しても成り立つことになる。ところが、戸塚が国連人権委員会に「性奴隷」として告発し続けているのは慰安婦だけである。ここにも戸塚の偽善が表れている。

 

 わたしは1992年以来、この問題の論争に加わりながら、慰安婦とさせられた女性も、戦前、吉原など遊郭ではたらかされた女性もみな、著しく人権を侵された歴史と貧困の被害者であり深く同情するという立場を貫いてきた。その上で、慰安婦は軍の強制の犠牲者だから人権侵害の度合いは遊郭で働かされた女性より著しく重いとする「性奴隷」説に反対してきた。国連人権委員会の関係者や米国議会関係者、そして韓国の良識ある人々が戸塚の性奴隷説の転換を知るなら、慰安婦=性奴隷という日本への国際的非難は姿を消すはずだ。本来なら外務省が日本の名誉を守るための努力をすべきなのだが、それが全くなされていないため戸塚らの国際謀略が成功している。

(つづく) 

カテゴリ: 世界から    フォルダ: 日韓関係

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