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慰安婦謀略の背後にうごめく日韓親北左派の偽善(1)

2012/06/22 17:04

 

 正論201205月号に寄稿した慰安婦に関する拙稿を分載します。セックススレーブという語を広めたのは日本人弁護士であり、在韓日本大使館前の慰安婦の像を建てた韓国の団体は北朝鮮と密接な関係があることを暴露したものです。雑誌掲載時は「「慰安婦=性奴隷」を広めた戸塚悦朗の「大罪」」というタイトルになりましたが、ここでは私が付けた原題通りにし、雑誌掲載時にカットされた部分を含めて原文を掲げます。

 

慰安婦謀略の背後にうごめく日韓親北左派の偽善(1)

  

 慰安婦問題で日韓関係を悪化させてきた日韓の親北左派勢力は、脱北者女性が現在進行形で中国にて言葉の意味そのものの「性奴隷」にされていることに対して一切発言しない。彼・彼女らは偽善者である。

 

  

 

 20094月、私は拉致問題解決のための助力を米国政府、議会などに訴えるため、家族会救う会拉致議連の訪米団の一員としてワシントンを訪れた。そのとき米国の民間人権擁護団体「北朝鮮人権委員会」が、『売られる生命(Lives for Sale)』と題する北朝鮮女性の人身売買の実態の報告書を発表した。同報告書は実際に結婚や売春を強制された北朝鮮女性58人からの聞き取り調査をして、

 

(1)北朝鮮女性たちは本国での貧困や飢餓のために中国の吉林省と黒竜江省に出稼ぎのつもりで入り、朝鮮族の中国人のブローカーに強制的な売春や結婚へと人身売買されたというケースが大多数。

 

 

 

(2)商業結婚の相手は中国人の大幅に年上の男性や身体障害の男性が多く、代金は500ドルから1500ドルの場合がほとんど。

 

 

 

(3)密入国してきた北朝鮮人は逮捕された後、本国へ強制送還する場合が多く、送還後は北朝鮮できわめて過酷な懲罰を受けると訴えている。

 

 

 

 同委員会は報告書発表の記者会見で現在は韓国に定住する脱北者女性2人を紹介し証言させた。その一人のバン・ミソンさんは「北朝鮮で夫が死に、生計が立てられず2人の子どもに腹一杯食べさせたいという 一心で、2004年に中国へ逃げたが、中国へ行くやいなや人身売買団に売られた。身体障害の中国人老人の妻として585ドルで売られ、別の男性に2回転売された。その後、中国当局に拘束され、北朝鮮に送還され、強制収容所でムチで打たれたため今も歩くことが不自由だ」とスカートをたくし上げ、拷問でできた太ももの傷を見せた。

 

 

 

 続いて証言をした金ヨンエさんは、「夫と死別した後、幼い息子を食べさせるために脱北したが、中国に行く脱北を助ける人が人身売買組職の一味だった。730ドルで精神的に不安定な中国人男性に売られ、娘まで生んだが、男性の暴力に耐えられず逃げ出した後も、数回にわたって別の中国人男性に売られた、」と涙ながらに訴えた。

 

 

 

 

 今年に入り遅ればせながらではあるが、韓国で脱北者の人権を守ろうという動きが高まってきた。

 

 221日から11日間、中国政府による脱北者北朝鮮へ強制送還に抗議して、韓国の朴宣映国会議員が在韓中国大使館前で断食座り込みをした。11日目に朴議員は抗議集会中に倒れて病院に運ばれたが、その捨て身の行動により、韓国のマスコミでもこの問題が連日大きく報道されている。

 

 脱北者を主人公にした映画「クロッシング」で主演した俳優ら芸能人も朴議員の抗議行動に加わり、与野党の政治家も中国大使館前の集会に顔を見せている。韓国政府も重い腰を上げて外交努力をしている。

 

 

 

 私は、226日午前、在韓中国大使館前の教会の敷地にテントを張って断食座り込み中の朴議員のところに激励に行った。断食6日目の朴議員は、

韓国政府は自国民保護の観点から脱北者強制送還阻止にもっと積極的に動くべきだ。自分一人でも命をかけて脱北者の人権のために闘う覚悟だ。日本でも普遍的人権という観点から中国政府に抗議してほしい。このまま放置すると近い将来韓国は中国の属国になってしまう。毎日午後2時から抗議集会をしているので、そこで挨拶をしてほしい」

と話した。そこで私は午後の路上集会でマイクを握り韓国語で中国政府を非難する演説を行った。

 

 朴議員はテントの中で「自分は独島(竹島のこと・西岡補)は韓国の領土だと考え、政治家として活動している。また、慰安婦問題やサハリン残留韓国人問題でも人道主義の立場から被害者のために活動している。独島問題での私の活動が気に入らないからと日本の国会議員たちは当初、拉致問題で協力に躊躇しているようだ。私は韓国の国会議員だから、日本の国会議員と意見が違うことがあるのは当然だが、拉致問題や脱北者問題などでは協力できると考えていたが日本の議員の姿勢は残念だ。」

と語った。確かに朴議員は昨年、何人かの議員らと竹島で音楽祭を企画するなど積極的な活動を展開していた。

 

 

 

 それに対して私は

「私は日本人の学者として当然、竹島は日本の領土だと思っている。また慰安婦問題でも先生と考えが違う。しかし、60年以上前の慰安婦問題を『性奴隷』などと取り上げるのなら、なぜいま中国で人身売買されている数多くの脱北者について沈黙するのか分からない。その点で慰安婦問題を大きく取り上げながら脱北者問題で北朝鮮中国批判をしない日韓の左派は偽善者だ」

と答えた。

 

 

 

 私と朴議員は、

「領土問題、歴史問題では意見が一致しないことを認め合いつつ、目の前の北朝鮮と中国によるすさまじい人権侵害、その被害者である脱北者や拉致被害者を助けるために日韓の普遍的価値観にたつ自由民主主義者は連携して立ち上がるべきだ。」

という点で意見の一致を見た。

 

 

 

 昨年12月、訪日した李明博大統領が首脳会談で慰安婦問題を長時間取り上げたことなどに対して、韓国の良識的保守派の中で批判の声が出始めている。慰安婦を問題にするよりまず、脱北者女性が今現在も中国で「性奴隷」として売買されていることを止めなくてはならないと主張が保守勢力の中で静かに広まっている。

(つづく)

カテゴリ: 世界から    フォルダ: 日韓関係

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