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検事と元特捜部長を懲戒処分
6月27日 15時42分

検事と元特捜部長を懲戒処分
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民主党の小沢元代表が強制的に起訴された事件をめ巡り、東京地検特捜部の検事が事実と異なる捜査報告書を作成していた問題で、法務省は、この検事を減給の懲戒処分にし、検事は27日付けで辞職しました。
監督責任があったとして、当時の検事正や特捜部長ら上司4人も厳重注意や戒告などの処分を受けました。

1審で無罪が言い渡された民主党の小沢一郎元代表の事件では、元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)が、検察審査会の議決を受けて、元秘書の石川知裕衆議院議員を事情聴取した際、事実と異なる内容の捜査報告書を作成しました。
この報告書が検察審査会に提出されたことなどから、最高検察庁が関係者から事情を聞くなど、調査を進め、27日、結果を公表しました。
この中で最高検は、「石川議員の供述の趣旨とは実質的には反しない内容になっているが、捜査報告書に書かれているやり取りが実際にあったという誤解を与えかねないもので、不適正と言わざるをえず、慎重さを欠いた軽率な行為だ」と指摘しています。
調査結果を受けて、法務省は、捜査報告書に不正確な内容を記載したとして、田代検事を20%の減給6か月の懲戒処分にし、田代検事は27日付けで辞職しました。
また、当時の上司に監督責任があったとして、東京地検検事正だった岩村修二名古屋高検検事長(62)を厳重注意、佐久間達哉前特捜部長(55)を戒告、齋藤隆博特捜部副部長(49)を訓告、それに、元特捜部の木村匡良検事(50)を戒告の処分にしました。
一方、最高検は、問題の捜査報告書の作成は意図的だったとまでは言えないとして、虚偽公文書作成などの疑いで告発されていた田代検事や上司ら合わせて7人について、刑事責任は問わず、いずれも不起訴にしました。
さらに、最高検は再発防止策として、検察審査会の議決を受けた捜査では原則として取り調べを録音・録画することや、当初の捜査を担当した検事を交代させることなどを、新たに決めて公表しました。

石川議員“処分はとかげの尻尾切り”

今回の処分について、田代検事から事情聴取を受けた石川知裕衆議院議員は、「田代検事は、自分の判断だけではなく、上からの指示もあって、事実と異なる捜査報告書を書いたと思う。処分されるのはやむをえないという思いと、組織に無理をさせられてかわいそうだという思いが交錯している。一番の問題は、事実と異なる捜査報告書を書かせた検察という組織であり、今回の処分は、とかげの尻尾切りだと思う」と話しています。

検事総長“信頼回復に努力”

現職の検事5人が人事上の処分を受けたことについて、笠間治雄検事総長は、「村木厚子さんが無罪になった事件など、一連の検察不祥事で失われた信頼を回復させようとしているなかで、国民が疑念を抱くような事態を招き、誠に遺憾です。今後、改善策を講じて、組織が一体となって信頼を回復できるよう、真摯(しんし)に努力していきます」というコメントを出しました。

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