国立環境研究所 社会環境システム研究センター

環境経済・政策研究室

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平成24年度の成果

タイトル
Assessment of GHG emission reduction pathways in a society without carbon capture and nuclear technologies
著  者 OKAGAWA, Azusa, Toshihiko MASUI, Osamu AKASHI, Yasuaki HIJIOKA, Kenichi MATSUMOTO and Mikiko KAINUMA
研究の概要 原子力発電と二酸化炭素回収貯留(CCS)は、気候変動緩和オプションとして重要なものとして位置付けられている。しかし、福島第一原子力発電所の事故以降、日本の原子力政策は厳しく批判されるようになったことから、日本政府はエネルギー政策だけでなく、温室効果ガス削減目標の見直しを求められると考えられる。また原子力と同様に、CCSについても長期的安全性が明らかになっていないことから、緩和オプションとして適切ではないとみなされる可能性がある。本論文では、原子力発電とCCSを導入しない状況下での日本、中国、インドのエネルギー戦略を分析した。その結果、原子力発電の保有状況やCCS導入ポテンシャル、再生可能エネルギーのポテンシャル、エネルギー資源の賦存量、経済発展の違いにより、温室効果ガス削減目標達成のための適切なエネルギー戦略は各国で異なることがわかった。また、原子力発電やCCSを導入しない場合であっても厳しい緩和目標を達成することは可能であるが、再生可能エネルギー導入の大幅な促進とともに、国ごとのエネルギー費用に応じた化石燃料代替が必要であることが示された。
掲載誌情報 Energy Economics 掲載予定

タイトル
ヘドニック・アプローチによる東京都区部の洪水被害額の計測
―浸水リスク変数の内生性を考慮した分析―
著  者 岡川 梓・日引 聡・小嶋 秀人
研究の概要 浸水被害に関する研究は,これまでに数多くの成果が蓄積されてきたが,(1)川への距離や標高などを洪水リスクの代理変数として用いているために,他の外部便益や外部費用の効果を分離できていない,(2)ハザードマップを利用したリスク変数を使って分析しているものの,除外変数によるバイアスを考慮していない,などの問題があり,被害額を過小評価あるいは過大評価している可能性がある.本研究では,これらの問題に対処するために,ハザードマップを利用したリスク変数を利用し,除去変数バイアスを考慮した上で,ヘドニック地価関数を推計し,洪水リスクの価値を推計した.その推計結果から,(1)地価は,洪水リスクに直面することによって約10.24%低下していること,(2)単位面積当たりの洪水被害額は120万円/uに上り,東京都による試算結果5万円/uに比べて著しく大きい値となった.
掲載誌情報 環境経済・政策研究 掲載予定

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