(CNN) トルコ軍のF4戦闘機がシリアに撃墜された問題で、トルコのエルドアン首相は26日、対シリア姿勢の硬化を示す方針変更を発表した。また、北大西洋条約機構(NATO)も同日、シリアを強く非難する声明を出した。
エルドアン首相は、トルコ軍機がシリア領空に入ったのは数秒間で、攻撃的な飛行でないことは明らかだったとして、シリアによる撃墜を改めて非難。今後トルコ国境に近付くシリア軍の動きは潜在的脅威とみなし、「相応の対応を取る」と警告した。
同首相によると、トルコ領空には今年に入って5回、シリア軍のヘリコプターが侵入したが、トルコ側は撃墜せず、事態の悪化を避けたという。新たな方針は、こうした対応に変化をもたらす可能性がある。
NATOはトルコの要請を受け、ブリュッセルで緊急会合を開いた。ラスムセン事務総長は会合後の記者会見で「最大限の非難」を表明し、シリアに再発防止を強く求めた。一方で、トルコが集団的自衛権の行使を要請しなかったことを明らかにし、NATOによる軍事介入の可能性を否定。事態がエスカレートすることはないとの見方を示した。
フランス外務省は同日、シリアによるトルコ軍機撃墜は「攻撃」であり、「国際法違反」だとの立場を示した。
ロシア外務省当局者は「この出来事を、情勢を不安定にする挑発や意図的な行動ととらえることは避けるべきだ」と述べた。
米ホワイトハウスのカーニー報道官は、トルコ側の慎重な対応を評価し、同国政府とNATOの立場を支持すると述べた。
トルコ軍機は訓練飛行中に公海上空で撃墜されたというのが、トルコ側の立場だ。一方、シリア外務省の報道官は、シリア領空内で撃墜したとして、「訓練飛行であろうと偵察飛行であろうと、領空を侵犯したことに変わりはない」と主張。被害者はシリアの方だと述べた。
トルコ外務省の報道担当者は25日、CNNとのインタビューで、撃墜後に捜索に向かった別のトルコ機もシリアから銃撃を受けたと語った。ただ機体には命中せず、負傷者も出なかったという。