韓国の雇用率59%、EUの危機国家並み

 韓国が5-6年以内に労働市場の改革に取り組まなければ、1980-90年代のスペインやフランスのような構造的な雇用不安に陥るとの警告が示された。

 韓国労働研究院のクム・ジェホ上級研究員は26日、韓国先進化フォーラムの主催で開かれた討論会で、欧州国家が持続的な福祉を維持できる理由として、70%以上の雇用率を挙げ「韓国が所得格差を解消し、低成長、少子高齢化に備えるためには、昨年末時点で59.1%にとどまっている雇用率を高める必要がある」と訴えた。

 韓国の失業率は昨年末現在で3.4%と比較的低いが、雇用率はオランダ(74.7%)、オーストラリア(72.4%)などに比べ低く、イタリア(56.9%)、スペイン(59.4%)に近い水準だ。これは、就職放棄者が失業者統計に反映されないことによるものだ。

 クム研究員は、韓国の経済成長率が低下し、雇用創出能力も弱まっており、成長と分配の循環メカニズムを構築することが急がれると指摘した上で、普遍的な福祉ではなく、福祉と雇用のリンクを通じ、福祉需要を減らし、財政負担を軽減することが必要だと指摘した。また、「45歳定年」に代表される雇用不安の原因は、賃金と生産性の乖離(かいり)にあるとし、賃金ピーク制を広める必要があるとした。同時に経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も長い労働時間が雇用の足かせになっているため、超過勤務を制度的に抑制する必要があるとの意見も示した。

 パネリストとして出席した呉鍾南(オ・ジョンナム)ソウル大主任教授は、青年層の就職難の原因として、高すぎる大学進学率による就職目標と現実の乖離を挙げた。呉教授は「子女教育のための親の犠牲は、過去とは異なり、進路に特に役には立たず、両親の老後への備えを難しくするだけだという現実を直視する必要がある」と指摘した。

 韓国経済研究院の黄仁鶴(ファン・インハク)上級研究員は、青年層の就職難の背景として、大企業の不足を挙げた。一般的には韓国では大企業が占める割合が高いとされるが、実際には従業員500人以上の事業所が全体の0.2%にすぎず、ドイツ(2.1%)、英国(1.4%)、日本(0.6%)よりも低いとの指摘だ。

チェ・ギュミン記者
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