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<関東大震災>虐殺の主体鮮明に…横浜市教委が中学生用副読本を改訂
2012-06-13
神奈川新聞社発行の副読本

 【神奈川】横浜市教育委員会は中学生用副読本『わかるヨコハマ』(かながわ検定協議会と共同編集)の記述の一部を改訂した。問題となっていた関東大震災に関する項目では、迫害・虐殺に関わった主体として軍隊や警察が記述に復活。朝鮮人ばかりか中国人までが犠牲になった事実も明らかにした。市教委が採用して今年度からすべての横浜市立中学で使用されている育鵬社版の歴史教科書とは対照的な記述となっている。

 09年版『わかるヨコハマ』は、朝鮮人迫害・虐殺に対する軍隊・警察の直接的な関わりがあいまい。朝鮮人に対する迫害・虐殺は自警団のみによって引き起こされ、軍隊は自警団を取り締まるために派遣されたのだとする趣旨の内容だった。このため、横浜市立中学校を定年退職した社会科の元教員が、「誤った見解」と1年前から再三にわたって質問状を送るなど、記述の改訂を求めていた。

 今回の改訂版を見ると、迫害・虐殺の主体として自警団だけではなく、初めて軍隊や警察の存在を明確にし、犠牲者には朝鮮人だけでなく、中国人がいたことも新たに書き加えた。旧版では削除されていた「殉難朝鮮人慰霊の碑」の写真も復活した。同慰霊碑は少年の日に朝鮮人虐殺を目撃したという「1市民」が74年、謝罪と反省のため市内久保山墓地に建てたもの。

 横浜市教委は「旧版の記述が誤っていたわけではない。ただし、国の中央防災会議で示された史料『1923 関東大震災』や『横浜市史』が示すような歴史研究の一般的な理解を踏まえ、より適切な表現に改めた」と話している。

 改訂を求めてきた元教員は、「誤った記述が正され、歴史研究に沿った記述になった。デマを信じた軍隊、警察、民衆の自警団によって朝鮮人、そして中国人が虐殺されたこと、その背景に植民地支配に抵抗する朝鮮人へのおそれと差別意識があったという記述に戻ったことを歓迎したい」と語った。

 副読本『わかるヨコハマ』は2日の開港記念日に合わせ、市内149の公立中学校で学ぶ1年生2万6866人全員に配布された。市教委は「横浜の時間」「社会科」「理科」など、様々な場面での活用を期待している。

 発行は神奈川新聞社で、一般にも販売される。

『育鵬社版』と対照的

 「関東大震災と朝鮮人・中国人虐殺」は現在、すべての中学校歴史教科書が取り上げている。だが、その記述内容は教科書によって大きく異なる。

 今年度から横浜市内のすべての公立中学校で採用されている育鵬社版は「交通や通信がとだえた混乱の中で、朝鮮人や社会主義者が、住民たちのつくる自警団などに殺害されるという事件もおきました」とあるだけ。デマについて書いてあるわけではなく、軍隊、警察の動きも記述されていない。

 横浜市で育鵬社版が採用されるまでは、中学校の歴史教科書は日本書籍版が主流だった。同教科書は軍隊、警察、自警団が数千の朝鮮人と数百の中国人を虐殺したことを、その背景まで踏み込んで書いてあった。

 市教委に副読本の改訂を求めてきた元社会科教員は、「育鵬社版が教材として役に立たないなか、今回の記述は大震災の中で起きた朝鮮人・中国人虐殺の問題を考え、学んでいくきっかけを与えてくれるだろう。来年は関東大震災から90年の節目の年。教育現場で今回の改訂を活かしていこう」と呼びかけている。

(2012.6.13 民団新聞)
 

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