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2010-02-01 Dead Reckoning: デットレコニングの問題点 (ロボットの自己位置推定

Dead Reckoning: デットレコニングの問題点 (ロボットの自己位置推定)

デットレコニング(Dead-Reckoning:DR)とはエンコーダや慣性センサを利用した相対的自己位置推定法のことを指します。

基本的にはロボットの初期値(位置と姿勢)がわかっているとし、

その値にエンコーダをジャイロなどのセンサ情報を足し合わせて、ロボットの位置と姿勢を計算するというものです。


基本的にこのDRには大きく分けて二つの基本的な方法があります。

ひとつはオドメトリシステム、もう一つは慣性航行システム(Inertial Navigation System:INS)です。

オドメトリは車輪型のロボットタイヤにエンコーダを取り付け、エンコーダからの情報でタイヤの回転数を測定します。

そして、ステアリングの角度や差動型のロボットの場合、タイヤ同士の幾何学的関係を利用して、ロボットの移動量を計算します。

このとき、タイヤの回転数からロボットの移動量を計算する計算式(関数)のことを一般的にロボットのkinematic model (motion model)といいます。

差動式のロボットの場合、このモデルはタイヤのトレッドやタイヤ径などのパラメータに依存した関数となります。


INSは航空機の分野や屋外ロボットなどでよく使用されるシステムです。

基本的にgyroscopeと加速度計から構成され、

これらのセンサから角速度(加速度)と並進速度(加速度)を計測し、それらの値から移動量を計算します。

これらのDRは多くのアプリケーションに使用されており、自律移動の分野でも主要な自己位置推定手法としてあつかわれています。


しかし、このDRには以下の4つの理由により位置推定の誤差が生じ、

そして前述のようにセンサの値を足し合わせるだけなので、この誤差が蓄積していってしまいます。

つまり、長距離を走行すると位置推定誤差がどんどん大きくなってしまうということです。


1.完全なkinematic modelは存在しない。たとえば真のタイヤ径やトレッド幅を知ることはできない。

また、たとえ知ることができたとしても、そもそものモデルが近似であるため、真の移動量を知ることはできない。

2.完全なセンサのモデルも存在しない。

たとえば、ジャイロのドリフト誤差をexpで近似する方法はあるが、これも結局近似である、またセンサの測定位置は内部の回路構造なども影響してくるため、本当に正しいモデルを作成するためには、とても複雑なモデルを構築する必要がある。

3.センサのノイズにはノイズが含まれている。またどんなデータも離散化されており、真の測定値というものも存在しない。

4.ロボットの運動ではセンサで観測できない外部要因が大きく影響する。

たとえば、タイヤのスリップロボット自体の構造の変化など。

(タイヤのスリップなどに影響されないDR法もあります。カメラ画像のみでロボットの移動量を計算するVisual odometryです。詳しくは以下のページを見てください)

http://www.isc.meiji.ac.jp/~amslab/racing/technology/vision/visualnav.html

これらの理由によりDRによる自己位置推定は時間に比例して誤差が無限に大きくなってしまいます。

これらの問題を解決するために、その後、GPSやマップマッチングなどの時間に対して位置推定誤差が無限に大きくならない手法を用いて自己位置推定を行う手法が開発されていきます。

これらの手法については、またいつか。

ひでさんひでさん 2010/06/08 21:36 つづり、Dead reckoningみたいですよ

meison_amslmeison_amsl 2010/07/09 00:03 >ひでさん
ご指摘ありがとうございます.修正いたしました.

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