ファーストサーバの主力サービスであるビズ2・シリーズのパンフレットに、こうある。 「ファーストサーバは、これまで以上に安心してレンタルサーバーサービスをご利用いただくために品質保証制度(SLA)を設け、稼働率100%を保証した高いビジネス品質のサービスでお客様のビジネスを支えます」
これは、本番系と同時にリアルタイムで待機系を動かし、サーバーを止めることなく稼働させる仕組みをうたっている。「100%」は実現できなかったが、もう1カ所の記述が事実であれば、少なくとも消失は防げたはずだった。
■顧客が悪いのか、それとも……
「さらに人為的なデータ損失があった場合にそなえ、日に1回、外部サーバーにデータを保存していますので、お客様によるデータの誤消去があった場合にも、前日の状態に戻すことが可能です」――。
今回はファーストサーバによる「人為的な誤消去」。しかし実際は、バックアップは「外部サーバー」ではなく、「同一のサーバー内の別ディスク」にあり、完全なデータ消失に至ってしまった。この点についてファーストサーバの村竹室長は「数年前までは記述の通りだったが、現在は説明の通り異なる。記述ミスで、修正をせずにいた可能性がある」と語った。
約款をよく理解せず、こうしたうたい文句を信じてバックアップをとらなかった顧客がバカを見たのか。それとも優良誤認に該当するのか。議論の余地がありそうだ。伊藤弁護士は「悪い事情は、裁判でそれなりに考慮される可能性もある。相手に重過失があり、多大な損害を被った場合、責任限定に関係なく争う余地はある」とする。
■ヤフー子会社という不幸中の幸い
もっともファーストサーバにとっても今回の事故は不運な出来事。想定外の事態に見舞われ、社員は寝ずの対応に追われている。中小企業であれば、つぶれてしまいかねない。ただ、親会社はネットサービス国内最大手のヤフー。ファーストサーバ社長はヤフー子会社の大手データセンター、IDCフロンティア取締役の磯部眞人氏であり、ファーストサーバ役員にはヤフー幹部が3人もいる。
「人員の派遣、お客様対応、技術的な協力を含め、事態の収束に向けて全面的にヤフーが支援している」(ヤフー広報)といい、ファーストサーバにとってはヤフー子会社であったことが不幸中の幸い。ヤフーの2012年3月期の業績は、売上高が3020億円、純利益が1005億円と盤石なことを考慮すると、逆に損害賠償の請求額が高くなる可能性もある。
IT部門のコスト削減圧力に加え、東日本大震災を機に注目された「事業継続性」から、クラウドサービスへの関心はますます高まっている。そんな中で起きたデータ消失事故は、クラウド時代の盲点を浮き彫りにした。そして、いまだに被害の全貌や実態は見えていない。
(電子報道部 井上理)
ファーストサーバ、レンタルサーバー
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