長野電鉄は多くのコンテンツのバックアップデータを持ち合わせていたが、「お客様からの声」や「ボランティアツアー申し込み」など投稿フォームから得た一部データが消失したままの可能性があるという。「投稿フォーム機能の再設定に手間取っており、遅くとも今週中には完全に復旧させたい」(事業推進課)とする。
社団法人 日本ロボット学会は、約2週間前にウェブサイトをリニューアルしたばかり。リニューアル時のデータが残っており、懸命にデータを転送しているが、25日夜時点での復旧率は約20%。2週間のあいだに更新した論文などのデータは消失しており、会員に再提出を促す。ロボット学会はメールシステムもファーストサーバで運用。障害発生時からメールシステムの復旧までに届いたメールが消えている可能性があるため、仮運用のホームページで再送を呼びかけた。
「二度と戻って来ないデータが多いわけではないが、金額的な被害は大きい。今回のミスは、ウェブサーバー屋のやる失敗ではなく、あり得ない。まずはファーストサーバの環境で一刻も早く復旧させることを優先するが、すぐに他社に乗り換える予定」。担当者はこう憤る。
■被害の全容はいまだに不明
これらは被害企業・団体の中でも、比較的、体制が整っており、被害が軽微な部類に入るとみられる。約5700のうち大半が中堅・中小規模の事業者。復旧のメドがたたない企業・団体も数多く、ファーストサーバですら被害実態を把握できていない。
顧客は、ウェブサイト以外にもファーストサーバでさまざまなシステムを運用していた。代表格がメール。顧客企業がパソコンにダウンロードしていたり、「Gmail」などの外部メールサービスに転送していた場合は難を逃れたが、そうではないサーバー上のメールは消失した。事業に直結するシステムやデータの消失で、日常業務に支障をきたしている企業もある。
「新宿LOFT」など都内でライブハウスを展開するLOFT PROJECTでは、各店舗のホームページは一部を除いて復旧したものの、ウェブサイト上での予約業務ができない状態が続いている。障害を逆手にとり、「ファーストサーバ データ消失オフ」というイベントを7月14日に開催することを決めた。イベント案内には、こうある。
「我々ロフトグループも本稿執筆時(6月末日)にはまだまだ死線をさまよっている最中でございます。と、そんな阿鼻叫喚(あびきょうかん)のハンバーガーヒルを駆け抜けたサーバ管理者の皆様!ここはひとつ、いまだ癒えぬ生傷を握りしめ、酒を酌み交わそうではありませんか!」
被害企業として途方に暮れている様子が伝わってくるような文言だが、笑い飛ばせるだけ、まだマシだ。
■顧客情報失い「途方に暮れている」
ある素材のネット通販を手がけていた都内事業者は、通販サイトのみならず、この数年間に蓄積した顧客情報など一切のデータを失った。それらのデータはすべてファーストサーバで管理しており、バックアップはない。ウェブサイトはゼロから構築し直す予定で、2~3週間はかかるという。この事業者は「担当者がかわいそうだから」と、匿名を条件にこう話す。
ファーストサーバ、レンタルサーバー
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