特集ワイド:東日本大震災 福島第1原発事故 福島の怒り、1324人「原子力ムラ」告発 追及なくては日本の未来危うい
毎日新聞 2012年06月26日 東京夕刊
さらに「私たちの苦しみはお金で解決することだけではありません」と続けた。3・11からおよそ1年。除染の仕方を巡って、食品の安全性を巡って、放射能が引き起こすありとあらゆる問題を巡って意見の対立が生まれ、県民の絆を引き裂いていく。武藤さんは語る。「どこにどう怒りをぶつけていいのか分からない時間を過ごす中で、このままでは復興に向けて心を一つにできないと、私たちは思い至ったのです」
もう一人の副団長で、いわき市で避難生活を送る石丸小四郎さん(69)は、福島の商工関係者の間に原発再開を求める声が出てきたことに警戒を強める。「命の危機にさらされて、まだ事故前に戻ろうとする者がいる。責任を取らずに国の原子力推進体制が温存され、大飯原発の再稼働で明らかなように力を盛り返している。そんな理不尽を県民は肌で感じ立ち上がったのです」
福島地検がいつ、どう対応するかは不明だが、河合弁護士は「これだけの県民が参加したことを重視しないわけにはいかないだろう」と見る。告訴団(事務局080・5739・7279)は、今秋に2次告訴・告発を予定し、さらに継続して原子力ムラを取り囲む人の輪を広げていく。フクシマから国を変え、真の復興を導こうと考えている。
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