ソリューション・サービス
Vol.4 System i5上でのOSS稼動にあたって
System i5上でのOSS稼動にあたって
------Aixランタイム環境 「PASE」-------
System i5上でのOSS稼働環境
前回でご紹介いたしました「Xoops」のようなPHPベースのオープンソースソフトウェア(以下:OSS)をSystem i上で稼働させるには、以下の環境が必要となります。
- PASE(AIXランタイム環境)
- PHP(OSS稼動言語)
- MySQL(OSSのRDBMS)
第2回目の中で触れましたが、PASE(ポータブル・アプリケーション・ソリューションの略)は、i5/OSの無料フィーチャーとしてパッケージされていますので、IBMから配布されるi5/OSのメディアに含まれています。
<PASEライセンスプログラムの確認方法>
コマンド: GO LICPGMにて 「導入済みライセンス・プログラムの表示」を参照(画面1)
- ライセンスプログラム
- 5722SS1
- プロダクト・オプション
- 33
- 記 述
- POTABLE APP SOLUTONS ENVIRONMENT
画面1:【PASEライセンス・プログラム】
PASEの概要
【PASEとは?】
PASE(ポータブル・アプリケーション・ソリューション)とは?
- i5/OS上でAIXアプリケーションを実行する統合ランタイム環境です。
- PASE統合ランタイムは、ライセンス内部コードカーネルで実行します。
- PowerPCプロセッサーは、i5/OSモードからAIXモードへ切り替えて、PASEランタイムでアプリケーションを実行します。
- LPARのような別区画は必要ない
- PHPやC言語の動作が可能
※ 詳細は IBM Information Center をご覧ください。
PASEとは? 少々難しいので、実際にPASE環境の画面を起動してみましょう。
PASEは以下コマンドにて起動します。
→ CALL QP2TERM (AIXランタイム画面に変わります)(画面2)
画面2:【PASE環境画面】
この画面にてAIXコマンドの操作が可能です。
試しにコマンド pwd を実行してみます。
※pwd・・・自分がいるディレクトリを知ることができます。(画面3)
現在自分のいる階層がルートであることが確認できます。
次にコマンド ls を実行してみます。
※ls・・・ファイルやディレクトリの情報を表示させることができるコマンドです。(画面4)
pwd にて現在ルートディレクトリにいることがわかります。lsにて現在のディレクトリ直下に存在するデイレクトリ名が表示されます。
画面3:【コマンド操作】
画面4:【コマンド操作】
このようにSystem i5上にてAIXのような操作ができ、AIXアプリケーションの実行が可能です。
残念ながら、AIXのコマンドすべてが使用できるわけではありません。
PASE環境で使用できるAIXコマンドについては、IBM Information Center をご参照下さい。
→ http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/iseries/v5r4/index.jsp
OSSを稼動させるために、PASE上にPHPとMySQLのバイナリファイルをアップロードして配置します。
イメージ的に以下のような感じとなります。(図5)
WEBサーバはi5のIBM HTTP Serverを利用し、PASE上のMySQLにOSSをインストールします。
OSSをPASE上に稼働させることによりLPARの必要もなく、System i5上に情報系と基幹系のシステムが動くことになります。初期導入コストを抑えるだけでなく、堅牢で安定性高いSystem i5にてALL in Oneでシステム管理ができるため、運用の手間も省けると思います。
図5:【System i5でのPHPの動作】
今後の発展
既存のRPG等資産とPASE上のOSSとの連携も必要となってきますが、米国より次のような話題があります。4月25日、IBMとMySQL社が技術提携を発表しました。
- プレスリリース
- 「IBMはi5/OSベースのSystem i上でMySQLのデータベースをサポート」
- http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/21430.wss
これは米国での発表であるため、具体的な技術内容はまだはっきりしていませんが、DB2/400とMySQLとの連携がより密になるのではないかと思われます。System i5でのOSS利用環境のより一層の発展が期待されます。