特集ワイド:東日本大震災 福島第1原発事故 福島の怒り、1324人「原子力ムラ」告発 追及なくては日本の未来危うい
毎日新聞 2012年06月26日 東京夕刊
告訴・告発の対象は、東電では勝俣恒久会長ら15人。いずれも02年に文部科学省の地震調査委員会がマグニチュード8クラスの地震の可能性を指摘した後、多くの警告を受けていたのに安全対策を怠り続けたとしている。
国側では、班目春樹委員長ら原子力安全委員会の7人▽松永和夫・前経済産業省事務次官ら原子力安全・保安院長を務めた3人▽近藤駿介・原子力委員会委員長を、やはり対策を怠ったと指弾。さらに原子力安全委と文科省幹部4人には、緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の情報を公開せず、被ばくを深刻化させるなどした責任を問う。また山下俊一・福島県立医大副学長ら同県放射線健康リスク管理アドバイザーの3人は、汚染実態を把握していないのに「安全だ」との言動を繰り返し、被ばくを拡大させたとしている。
告訴団の河合弘之弁護士は「事故の原因は、長年にわたる安全対策の手抜きにある。経費の面、原発は安全と見せかける面から、東電と国側とで手抜きを働きかけ合っていたのです。この原子力ムラの癒着構造の解明も求めていきます」と述べた。
今回は、政治責任の追及は別と考えて対象に政治家は含めなかった。追加するかは今後の検討課題となっている。
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河合弁護士は安全対策の手抜きの中でも、特に津波対策が常識外れだと批判する。