特集ワイド:東日本大震災 福島第1原発事故 福島の怒り、1324人「原子力ムラ」告発 追及なくては日本の未来危うい
毎日新聞 2012年06月26日 東京夕刊
◇津波安全対策「手抜き明らか」 「放射性物質飛散は公害犯罪」 焦点…被ばくは傷害なのか
福島第1原発事故で被ばくさせられたとして、1324人もの福島県民が東京電力や国などの責任者33人を福島地検に告訴・告発した。福島事故は犯罪だとして「原子力ムラ」の処罰を求めたのだ。【戸田栄】
「誰も責任を取らない。このままでは仕方がなかったことにされ、福島の人間の心が折れてしまう。福島事故を思い出してください。あれだけの事故の責任追及がなくては、福島のみならず日本の未来が危うい」。福島原発告訴団副団長を務める、同県いわき市議の佐藤和良さん(58)が、憤りを込めて告訴・告発の意義を語る。
訴えの内容を確認しよう。犯罪被害者が加害者の罪を問うよう申告するのが、告訴である。1324人は自らの被ばくは傷害にあたるとして業務上過失致傷容疑で告訴した。一方、告発は第三者が当局に犯罪を知らせ、処罰を求めるもの。告訴団は事故で病院に取り残されて死亡した患者や、事故後の将来に絶望した自殺者、他の被ばくした県民らについて同過失致死傷容疑で告発。さらに、有害物質排出による死傷に罪を科す公害犯罪処罰法違反容疑でも告訴・告発した。