百貨店の大丸と松坂屋を傘下とする「Ｊ・フロントリテイリング」（本社・東京）は２５日、大丸新長田店（神戸市長田区）を来年１月末で閉店すると発表した。ＪＲ新長田駅前の商業施設「ジョイプラザ」の核テナントで、阪神大震災（９５年）翌日にワゴンセールで営業を再開するなど復興への貢献が注目されるなどしたが、景気低迷や郊外型大型店などとの競合で業績が低迷していた。

　新長田店は大丸神戸店（神戸市中央区）の分店として７７年にオープン。震災１カ月後に神戸市内で最初に全面営業再開を果たし、９５年度の売上高はピークの１２９億円に達した。しかし、その後は売り上げは伸びず、昨年度は５３億円まで落ち込み、業績の改善は困難と判断した。従業員５１人（正社員９人、契約社員４２人）は配置転換で雇用を継続する。

　柚木和代・神戸店長と中北史郎・新長田店長は記者会見で「震災直後には皆さまに感謝の言葉をいただき、地域に支えられていることを従業員一同が感じていただけに、閉店は断腸の思いだ」と話した。【錦織祐一】