クローズアップ2012:一体改革法案、きょう採決 軽い処分で悪循環 造反誘発、首相側後手
毎日新聞 2012年06月26日 東京朝刊
税と社会保障の一体改革関連法案の衆院採決を26日に控え、法案への反対を明言する民主党議員が勢いを増している。党分裂を回避しようと執行部や首相官邸の幹部が相次いで「軽い処分」を示唆したことで、党内の規律が緩み、首相側から見るとかえって造反が拡大する悪循環に陥っている。小沢グループは離党も辞さない姿勢で揺さぶりをかける。【小山由宇、高橋恵子】
民主党の輿石東幹事長は25日午後、面会した鳩山由紀夫元首相を前に、造反に厳しい処分を求める首相周辺へのいらだちを隠さなかった。「党を一本化しようとしている時に、党を割ろうとしているやつこそ除名だ」
一方、首相側近は同日、「処分が緩くなったら、造反はそりゃあ増える」と吐き捨てるように語った。厳しい処分で造反者数を抑えるか、処分を軽くして離党を防ぐか。野田政権の中枢でも意見は分かれる。
首相周辺は当初、「反対は除籍。欠席も同等の重い処分にする」と、締め付けにより造反を減らす戦略をとっていた。造反者数を、少数与党に転落する54人以上から程遠い40人程度と見込んでいたためだ。
流れが変わったのは22日。造反が54人を超える可能性が現実味を帯びてからだ。野田グループの票読みでは法案への賛否をA〜Eの5段階で分析したところ、反対か欠席の可能性大の「D」と反対の「E」は、合計で60台後半に広がっていた。