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試験操業で漁獲の相馬沖魚介類、店頭へ「待ちわびた」敬遠も

原発事故後、初めて販売された地物のタコを買い求める客=25日、ヨークベニマル相馬黒木店

 福島第1原発事故で休漁し、試験操業で漁獲された福島県相馬市沖のタコとツブ貝が25日、相馬、福島両市のスーパーや魚店で販売された。原発事故で漁の全面自粛となった県沖の魚介類が店頭に並ぶのは1年3カ月ぶり。相馬市のスーパーでは地物の味を待ちかねた客が次々に買い求めてほぼ完売し、漁復活に向けて一歩を踏み出した。

 相馬市のヨークベニマル相馬黒木店には、ボイル加工されたタコ、ツブ貝がトレーに入れられて陳列された。タコの価格は100グラム当たり128〜148円で、同店に並ぶ国産の半値。消費者の反応を見ようと、価格を抑えて売り出された。
 相馬市の主婦斎藤照子さん(77)は「待ちわびた味。これで浜も活気づけばいい」と話し、タコを試食して買い物かごに入れた。
 ヨークベニマルは同店と市内のもう1店でタコ78キログラム、ツブ貝35キログラムを仕入れた。夕方までにはほぼ売り切れ、「地物を望む人が多く、反応がいい。次回は宮城県南でも販売したい」と言う。
 タコはミズダコとヤナギダコ、ツブ貝はシライトマキバイで相馬双葉漁協(相馬市)が22日に相馬市の50キロ沖で漁獲した。検査で放射性物質が検出されなかったことを受け、加工して計680キログラムを出荷。相馬市の11店のほか、福島市で販売された。
 販売好調だった一方で敬遠する消費者も。2児の母で3人目を妊娠中という相馬市の主婦(28)は「原発事故前は国産や地元産の物を食べたが、今は逆。特に海の物は心配で買えない」と語る。
 水産卸のいわき魚類(いわき市)は「休漁で地物の水揚げがなく、いわきでも相馬産の引き合いはあるが、いわき市の小名浜港に揚がったカツオが風評被害で東京の築地市場で値が付かなかったこともあり、首都圏での販売は厳しいのではないか」とみる。
 相馬双葉漁協の南部房幸組合長(78)は「安全性には自信を持っている。浜の現状を理解してもらい、多くの消費者に買ってもらいたい」と話した。次の試験操業は27日で、検査で基準値を下回れば県外向けにも出荷される見通しだ。


2012年06月26日火曜日


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