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政治
【主張】きょう衆院採決 首相は「処分」で覚悟示せ
26日の社会保障・税一体改革関連法案の衆院採決を控え、野田佳彦首相は「国難に立ち向かい、国民に説明していく政治を実現したい」と結束して賛同するよう民主党代議士会で呼びかけた。
法案への反対を表明している小沢一郎元代表ら造反者は、反対と棄権を合わせて70人規模に拡大する可能性もあるという。離党者が54人以上になれば民主党は少数与党に転落し、首相にとって政権運営は極めて難しくなる。
だが、ここが首相の正念場である。造反者への厳しい処分も辞さず、消費税増税を柱とする一体改革を成し遂げる覚悟をいかに貫けるかである。
首相は法案採決について「党議拘束がかかる」と述べたが、造反に対する処分方針を明らかにしていない。曖昧にしているのは、執行部が処分を甘くすることで、分裂を回避しようとする動きと軌を一にしているようにみえる。
問題は、民主党が反対者を抱え込んで、これからも「決められない政治」を続けていくのかだ。
輿石東幹事長は、「党を割らないでほしいという声が党内の大勢だ」として、分裂回避に全力を挙げる考えだ。法案賛否をめぐる重い処分は行わない姿勢を示している。相変わらずの党内融和路線を改める姿勢はみられない。
これに対し、自民党の谷垣禎一総裁は25日の講演で「造反者を処分できないようでは、参院で一緒に審議を進めていけるのか疑問だ」と指摘した。造反者に曖昧な処分をとるのであれば、参院で協力しにくくなり、法案審議が難航すると牽制(けんせい)したものだ。
法案が衆院を通過しても、参院で与党は過半数を得ていない。関連法案成立を図るには、自民、公明両党との3党合意の堅持は不可欠だ。民主党が公党間の約束よりも党内事情を優先させている現状を、首相が断ち切るしかない。
造反者らは今後、「増税の前にやるべきことがある」との主張をさらに強めるだろう。これに対して、首相や政府・与党が説得力をもって反論できるかどうかも重要になる。
消費税増税に対する国民の慎重論の背景にも、政府がデフレ脱却への具体的道筋を十分に示していない点があることは否めない。行政改革や政治改革への取り組みと合わせて、経済活性化への実効ある対策を講じる必要がある。
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