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'12/6/26

広島知事、鞆架橋撤回伝える



 福山市鞆町の鞆港埋め立て・架橋計画をめぐり、広島県の湯崎英彦知事と福山市の羽田皓市長は25日、福山市役所で会談した。湯崎知事は架橋計画を撤回し、景観への影響が小さい山側トンネルを推進する考えを伝えた。羽田市長は「これまでの考え方を180度変更した方針で非常に残念」と反発する一方、「不退転の決意で最後までやり遂げてほしい」とも強調。事実上受け入れる考えを示した。

 会談では冒頭、湯崎知事が「埋め立て・架橋は港内の景観を不可逆的に改変し、観光面で中長期的にマイナスを与える」と指摘。「トンネルは生活の利便性向上と景観保全を両立させる」として架橋計画を撤回し、トンネルを推進する方針を正式に伝えた。

 羽田市長は「容認できない」と不快感を示す一方、「速やかに地元住民への説明責任を果たしてほしい。凍結を一番恐れている」と述べた。架橋計画の事業主体が主に県であることも踏まえ、会談後の記者会見では「容認ではないが受忍をせざるを得ない」と語った。

 県が市に示した案によると、総事業費約70億円の架橋計画を撤回するとともに、町中心部の北側にある山に長さ1・5キロのトンネルを造る。駐車場や観光施設、港湾施設の整備と合わせ、総事業費は90億円を見込む。

 県は、江戸時代の面影をとどめる景観を守るための資金を全国から募る「まちづくり基金」も設ける。7月2日の県議会定例会閉会後、住民説明会を開く方針でいる。湯崎知事は「できるだけ速やかに開く」として直接説明する考えだが、賛成派住民の反発も予想される。

【写真説明】鞆港の埋め立て・架橋計画をめぐり、会談した湯崎知事(手前右)と羽田市長(左)




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