【コラム】ギリシャと韓国の長時間労働

ギリシャの年間労働時間は欧州最長、労働生産性低く経済転落
労働時間がギリシャよりも長い韓国、その効用は限界…能力開発と生産性に悪影響

 韓国は年間労働時間が2193時間と、ギリシャよりもさらに長い。OECD加盟国中、韓国が1位、ギリシャが2位だ。韓国の長時間労働とギリシャの長時間労働の価値はどれほど異なるだろうか。韓国はかつて、先進国に追い付くため、より一生懸命働くべきだと考え、長時間労働を当然のこととして受け止めてきた。世界最長の労働時間を、韓国人の勤勉さを示す指標だと考えた。韓国経済がここまで成長したのは、このような長時間労働のおかげだともいえる。

 しかし、長時間労働の効用はすでに限界に達している。家庭を犠牲にし、勤労者の健康や安全を脅かし、能力開発の機会を減らし、生産性を低下させるという副作用の方が目立っている。上司の顔色をうかがうような韓国特有の企業文化のため、会社員たちは不必要な残業を行うなど時間の浪費が多い。女性、青年、高齢者の就業が難しく、経済活動参加率が低いことも長時間労働の文化と関連がある。

 韓国経済が「先進国に追い付く」という目標を超えて、もう一歩進むためには、労働の質と生産性、効率性を高めなくてはならない。体で企業の成長に貢献する勤労文化から抜け出すべきだ。企業も最近は「work hard(一生懸命働こう)」ではなく「work smart(賢く働こう)」をテーマに掲げている。無条件に一生懸命働くよりも頭を使って創意的に賢く働くべきというわけだ。

 このような側面から、政府が今年に入って労働時間の短縮を推進したところ、財界の反発に直面し、残念ながら労働時間の短縮は思うように進んでいない。人件費の負担を含む企業の懸念を無視するわけにはいかないが、労働時間短縮の努力を諦めてはいけない。労使、政界がさらに積極的に議論し、実現可能な方法を模索すべきだ。

金基天(キム・キチョン)論説委員
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