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「被爆体験者」訴訟 原告側が敗訴
6月25日 21時23分

「被爆体験者」訴訟 原告側が敗訴
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長崎に原爆が投下された際、国が定める「被爆地域」の外にいたとして、被爆者と認められていない「被爆体験者」の人たちが、国や長崎県などに被爆者と認めるよう求めた裁判で、長崎地方裁判所は、「認定条件である原爆の放射線によって、健康被害を生ずる可能性があったとは認められない」として、訴えを退けました。

訴えを起こしているのは、長崎に原爆が投下された際、爆心地から半径12キロ圏内にいたものの、国が定めた南北およそ12キロ、東西およそ7キロの「被爆地域」の外だったとして、被爆者と認められていない「被爆体験者」の395人です。
「被爆体験者」は、原爆体験が原因とみられるうつや不眠症などの症状を発症したと長崎県などに認められた人たちで、医療費を受けられるものの、健康管理手当やがんなどの治療費を受けられる被爆者とは援護内容に差があります。
裁判では被爆者と認めるよう、国と長崎県、それに長崎市に求めていました。
25日の判決で、長崎地方裁判所の井田宏裁判長は、「認定には、原爆の放射線によって健康被害を生ずる可能性がある事情の下にあったという高度の蓋然性の証明が必要で、それを認めることができない」と指摘しました。
そのうえで、原告側が「細長い地域を定めていることで、12キロ圏内にいたのに認定されないのは不合理だ」と主張したことについては、「最新の科学的知見と、当時の行政区画に基づき決められたもので、合理性を欠くとは言えない」と述べ、訴えを退けました。

原告側は控訴の方針

判決のあと原告側は会見を開き、控訴する方針を明らかにしました。
原告団の岩永千代子事務局長は、「誰が見ても不合理な被爆地域の線引きがどうして正当化されるのか。これまでに裁判所に提出した膨大な資料を見れば内部被ばくは明らかだ」と述べました。
また、原告側の加藤剛弁護士は、「被爆者として認められるかどうかの証拠が足りないという裁判所の判断には納得できない。今回の判決の矛盾点を整理したうえで、控訴審で勝利を勝ち取りたい」と述べて控訴する方針を明らかにしました。

厚生労働省“主張がおおむね認められた”

判決について厚生労働省は、「主張がおおむね認められたものと認識している。今後も長崎県や長崎市など関係自治体と協力しつつ、被爆者援護行政がしっかりと行われるよう努めていく」というコメントを発表しました。

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