2012年上半期に読んだ、心が打震えるほどスゴかった10冊の本

2012/06/25


半年で多分100冊超読んだと思いますので、スゴ本をまとめてみます。


エリック・リース「リーン・スタートアップ」

本ブログで都合150冊くらい売れている化け物本。起業を考えている方、ウェブサービスを作っている方、新規事業に携わっている方は必読です。これを読んでおけばバカみたいな失敗は避けられます。逆に言うと、読んでおかないと仕事人生の大きな損失を被る可能性があります。誇張抜きに。

・「スタートアップ」とは、とてつもなく不確実な状態で新しい製品やサービスを作り出さなければならない人的組織である。会社のサイズも業界も、セクターも関係はない。不確実な状態で新規事業を生み出そうとするものは、すべてアントレプレナー(起業家)だ。

書評はこちら


山本理顕「地域社会圏主義」

第一線の建築家が描き出す、シェアハウスならぬ「シェアタウン」構想。未来の住居はこんな感じになるんだろうなぁ、という具体性たっぷりの議論です。こんな家に住んでみたいです。

専有部分が少ないので、核家族の場合だと家賃を半分以下に抑えられる。核家族の場合、地域社会圏に移行することで、一般的な賃貸物件と比較すると、毎月8万円程度の節約になる。

書評はこちら


坂爪真吾「セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱」

まさに打ちのめされたすごい本。「射精介護」などの事業を行うNPO、ホワイトハンズ代表の坂爪さんの熱い想いが伝わってきます。NPOの担う役割について理解するための一冊としてもおすすめできます。名著「セックス・ボランティア」と合わせておすすめです。

・性=セックスは、食事や排泄、睡眠と並び、人が生きていくための、そして、次世代に命をつないでいくための最も基本的な欲求。

しかし、今の介護・福祉制度下では、性は、完全に「ケアの対象外」とみなされている。「障害者に性欲があるはずがない」「障害者が、妊娠・出産するはずがない」などの偏見や無知が前提になっている。

書評はこちら


岡本太郎「自分の中に毒を持て」

僕の創作方針に大きな影響を与えてくれた一冊。他人の評価を気にしてしまいすぎる人なんかに特におすすめできる本です。

・ふつう自分に忠実だなんていう人に限って、自分を大事にして、自分を破ろうとしない。それではダメだ。社会的状況や世間体とも闘う。アンチである、と同時に自分に対しても闘わなければならない。これはむずかしい。きつい。社会では否定されるだろう。だが、そういうほんとうの生き方を生きることが人生の筋だ。

書評はこちら


中村天風「運命を拓く」

超絶ポジティブな哲学者、中村天風の講義録。ものごとをネガティブに考えがちな方はぜひ手に取ってみてください。

・言葉は人生を左右する力がある。この自覚こそ、人生を勝利に導く最良の武器である。常に言葉に慎重な注意を払い、いかなるときにも、積極的以外の言葉を使わぬように心がけること。

書評はこちら


ジョン・ウッド「マイクロソフトでは出会えなかった天職」

社会起業家本はかなり読みあさりましたが、これはダントツで心に残る一冊でした。元マイクロソフト幹部が、単身NPOを立ち上げる、という苦難のストーリーは非常に魅力的。

・頭の片隅から「わかっているくせに。きみがいなくてマイクロソフトが困るのはせいぜい1、2ヶ月だ。すぐに誰かが穴を埋める。でも、貧しい村に図書館を建てようとするのは、きみだけだ。きみが挑戦しないでどうする」という声が聞こえた。

書評はこちら


田中浩也「FabLife デジタルファブリケーションから生まれる”つくりかたの未来”」

確実な未来である「パーソナル・ファブリケーション」について扱った希有な一冊。3Dプリンタが自宅に来たとき、人々の生活はどのように変わるか?なんてテーマを考えさせてくれます。

・パーソナル・ファブリケーションによって、再び生産の場が家庭に戻ってくる。しかもそれは、歴史的にまだ一度も実現されたことのない「家内制機械工業」なのだ。

書評はこちら


西村佳哲「自分をいかして生きる」

日本の「働く」に対する、痛切な問題意識を感じさせる一冊。落ち着いたトーンで、「働く意義」について投げかけてくる心に残る一冊です。

・仕事の憂鬱さを語る人が少しずつ増えている。その原因は、仕事の意味や価値を、根本からは問えない閉塞感に在るのではないか。「この仕事は本当に必要なのか?」ということ。この問いに向き合わなければ、先人が築き上げた仕組みの高度な微調整に、仕事が終始してしまう。それでは働く意味を再構築できないし、救われないのではないか。

書評はこちら


阿部彩「弱者の居場所がない社会」

「貧困問題の新しい入門書」という帯にあるように、これからの貧困問題解決を考える上でのヒントに満ちあふれた一冊。読みやすいトーンで平易に解説されています。「社会的包摂」という超重要コンセプトは、日本国民全員が知っておくべきだと僕は考えます。お読みになっていない方はぜひ。

・元大工のあるホームレスの男性は、確かに社会が求める「理想の労働者」にはなれない人間だったが、彼の価値をそのような物差しだけで測ることはできない。なぜ、彼は彼のままで社会に貢献することができないのであろう。「労働者」として何の価値もなかったとしても、なぜ、彼は彼のままであってはいけないのだろう。なぜ、職業訓練をして、お行儀のよい社会人にならなくてはならないのだろう。

書評はこちら


鈴木大介「出会い系のシングルマザーたち」

頼れる家族もおらず、「出会い系」に流れていったシングルマザーたちを追った超強烈なルポ。昨今の生活保護の不正受給問題に関連する示唆にも富んでいる一冊です。多くの人に手に取ってもらいたい本です。

・「売春に生活費を依存する」という選択にまで追いつめられていながら、取材対象者のほとんどが、生活保護を受けていなかった

・理由の一つは、生活保護の申請がなかなか通らないこと。「なぜ働けないのか?」「元夫のとの養育費の話をやり直せないのか?」とイジメのように社会福祉事務所に問いただされる。

・生活保護を受けているだけで「泥棒扱い」を受ける、と吐露する取材対象者も。生活保護を受けていることを原因に、子どもがいじめに遭う。「バレない売春で稼ぐ方が、生活保護の差別よりマシ」

書評はこちら


番外:必ず結果が出るブログ運営テクニック100 プロ・ブロガーが教える“俺メディア”の極意

万人におすすめできるわけではないのであえて番外に。HowTo系の本ですが、プロブロガーとしての道を歩む勇気をくれた一冊です。個人的にはこの本に出会って人生が変わりました。

ブログのマネタイズに関してはかなり突っ込んだノウハウが書かれているため、ウェブメディアやオンラインマーケティングに関わる方は読んでおいて損はありません。


というわけで、今年も素晴らしい本にたくさん出会えました。下期もがっつり読みまくりたいと思いますので、乞うご期待です。もう少し歴史や教養系の本を読んでいこうと思います。読んでいるだけじゃなく、僕も年末までには1冊くらい本を書きたいところ…。