北朝鮮が外貨稼ぎのため中国に送り出す労働者の数は12万人に達することが、22日までに分かった。従来は、図們・琿春に2万人、丹東に2万人の計4万人規模といわれていた。
中朝経済協力の事情に詳しい北朝鮮消息筋は22日「中国の地方政府の官僚や企業関係者によると、来年までに中国に来る北朝鮮労働者の数は合わせて12万人。これらの労働者は、図們・琿春・丹東のほか、瀋陽・延吉・長春など東北三省(遼寧・吉林・黒竜江省)の主要都市に順次投入される」「労働者の大部分は、韓国政府による5・24対北朝鮮制裁措置で仕事を失った北朝鮮の加工工場の熟練工だが、コンピューターやIT(情報技術)の専門要員1-2万人も含まれている。護衛総局傘下の機関にいる張成沢(チャン・ソンテク)労働党行政部長の親類や側近が、労働者の送り出しを主導している」と語った。今回中国に向かう労働者の月給は、業種により200ドル(約1万6080円)から300ドル(約2万4120円)といわれている。
中国企業は、北朝鮮が送り出す人材の賃金が中国人に比べはるかに安く、また寄宿舎で団体生活を送るため管理しやすいことから、北朝鮮の労働者を雇用するといわれている。
北朝鮮が最近まで、外部の思想の流入を恐れて労働者の海外派遣を最小限に抑えてきたことを考慮すると、今回の措置は破格のものだ。北朝鮮問題の専門家は「南北貿易を全面停止させた5・24措置(2010年)で外貨不足が深刻化したため、北朝鮮が“劇薬療法”に出た」とみている。
北朝鮮は、5・24措置により年間約3-4億ドル(約241億-321億円)の外貨収入を失い、これを穴埋めするため2010年上半期から中国に大量の無煙炭や鉄鉱石を販売し始めた。しかし、5・24措置の施行から2年が過ぎ、地下資源の輸出も限界に行き当たったものとみられる。
地下資源の輸出に問題が生じたとなると、北朝鮮が外貨を期待できるのは、海外の労働者からの送金しかない。毎年5000万ドル(約40億円)を稼ぎ出していた金剛山観光は、08年7月の観光客銃撃事件で中断、年間1億-2億ドル(約80-160億円)規模だった武器輸出も、09年の長距離ミサイル発射と2回目の核実験に伴う国際社会の制裁で困難になったからだ。昨年末の時点で、全世界約40カ国に計3-4万人の北朝鮮労働者が派遣され、年間1億ドルの外貨を稼ぎ出した。新たに労働者12万人が派遣されれば、年間3億ドルから4億ドルを得られるという。