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美花と峻護
入学式も終わり、落ち着いた頃に初めてこの 学園に登校している黒崎峻護。

学校も来ず、何をしていたかと言うと…

「よ〜す!峻護!」

バイクにまたがりニヤリと笑い、古くからの 友人高橋圭一が現われた。

「そう……この馬鹿と遊んでいたから学校に 来ていなかった」

「何だよその言い草は!」

「それより何だ?そのバイクは……カッコよ くねえし」

「ふっ……良く聞いてくれたよ……僕はこれ から風になるよ、誰にも縛られないんだ」

バイク上でカッコつけている圭一、教師が来 て連れていかれた。

「馬鹿はほっといて教室は何処だ……」

校舎に入り何とか教室を見つけて中に入る。

周りの生徒達はチラリとこちらを見た後、ま た話しを始める。

自席につき、外を眺めて圭一が帰ってくるの を待った。

つまらない日常、変わらない日々……中学も そんな感じに過ごしてきた。

高校もそんな日々を送る事になるだろう…… 今の俺はそんな事を思っていた。

この後、人生すら変える出会いをする事にな るとは知らずに。

「ただいま……」

ゲッソリとした表情で職員室から帰宅してき た圭一が席に座った。

「お~う」

ダルいので手をあげて圭一に答える。

「なあ………何でこの教室誰も喋らないん だ?」

机にうつぶせになって寝ている為、周りから 喋り声が聞こえないのが気になる。
「あれだよ、あれ」

顔をあげて圭一が指差した方向を見て、俺は 固まった。

思わず見とれてしまったのだ、一人の少女 に。

腰まで伸びた綺麗な髪、真っ白な綺麗な肌。 文句のつけようがない程完璧に整った顔。

そんな美少女が一人女子達と話す事もなく読 書をしていた。

「あれ………誰だ?」

「ああ、あの子は南美花ちゃん。入学当初か らもう男子達に大人気の女の子だよ。でも誰 が話し掛けても無視なんだよ」

圭一の奴も思わず見とれながら、口を開く。

「…………無視?」

意味が分からず聞いたと同時に一人の男子が 美花に向かって行った。

「ねえねえ美花ちゃん、何読んでるの?」

「………………」

完全なる無視で心が折れてしまった男子は 早々に走って行ってしまった。

「おお……あれはきついな」

「面白いからいいけどね」

なにがそんなに嬉しいかは分からないが、圭 一は笑いながらクククとか言っていた。


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