奈良市断酒会:「新人例会」が奏功、定着率UP /奈良
毎日新聞 2012年06月22日 地方版
アルコール依存症からの回復を目指して断酒会に通い始めても、すぐに例会に顔を見せなくなり、飲酒生活に戻ってしまう事例は少なくない。こうした新人会員をつなぎ止めようと、奈良市断酒会では、入会から日の浅いメンバーだけで集まる「新人例会」を毎月開催している。例会発足から1年。中本新一会長は「すぐやめてしまう会員はいなくなった」と手応えを感じている。【大久保昂】
「このままでは古株ばかりになってしまう」。昨年3月、奈良市断酒会の会員定着率を調べた中本会長は危機感を抱いた。直近の約10年間で少なくとも数十人が会員になったが、例会に通い続けて4年以上の断酒をしていたのは、わずか5人だったからだ。
全国の断酒会で組織する「全日本断酒連盟」(東京都)によると、会員になって3年以内に7割が例会から離れていくのが現状。「定着率を上げるには、新人同士で友情を育む場が必要だ」。中本会長はこう考え、昨年5月に新人だけで集まる例会を発足させた。
中本会長を除く参加者は、入会3年未満の比較的新しい会員ばかり。毎回10人以上が集まり、酒害体験を語り合っている。