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断酒会、着実に成果 「脱依存」励まし合い、語り合い | ||
アルコール依存症からの回復を目指す自助グループ「佐賀県断酒連合会」が、NPO法人を取得し、地道な活動を続けている。県内8地区の「断酒会」がそれぞれ月1~2回の例会を開き、酒害の経験を語り合う。飲酒運転が相次ぎ、福岡市では飲酒による不祥事が続く中、会員は自らの病気を直視し“命懸け”の断酒を続けている。 「わたしたちは酒に対して無力であり、自分ひとりの力では、どうにもならなかったことを認めます」。毎月第1、第3月曜日に例会を開く鳥栖断酒会。午後7時に集まった会員約40人は「断酒の誓い」を全員で唱和した。 会では、断酒への決意や酒害の経験を率直に語り合う。3カ月の入院を終えたばかりの男性は「きょうから飲もうと思えば飲める。でも、会に通い、先輩たちのように乗り越えたい」と誓った。断酒中の夫を支える妻も参加者の1人。「出先から夫にメールすると『迎えに行く』と言ってくれた。今までになかったこと」とうれしそうに語った。 県断酒連合会は1998年に設立。アルコール依存症は長年の飲酒で依存状態に陥り、通常の生活ができなくなる病気だが「ただの飲み過ぎ」「意志が弱いだけ」などと誤解されている。断酒への強い意志を示し、家族や周囲の信頼を得ようと昨年8月、NPO法人を取得した。 「アルコール依存症は“否認”の病気。ほとんどの人は『自分だけは違う』と思っている。断酒は認めることから始まります」。同会の志田順司会長(70)はこれまで数回の入院を繰り返し、一度は仕事も家族も失った。 「次は命を失う」。強い危機感を抱き、「1滴の酒も飲まない」と意志を固めた。断酒会で仲間と励まし合いながら酒を断ち11年。今では仕事も家族も取り戻し「依存症患者にとって断酒は命懸け。家族の笑顔がその証しです」と喜びを語る。 福岡市では、職員が飲酒後に暴行や傷害容疑で相次いで逮捕され、20日まで1カ月間の“自宅外禁酒令”が出される異常事態ともなった。飲酒運転など酒害が後を絶たない現状に志田さんは「アルコール依存症の対策が不可欠」とした上で、「家族や職場の同僚は、その人が酒を飲み過ぎていることを知っているはず。取り返しがつかなくなる前に、医療機関の受診や断酒会への参加を促してほしい」と話す。志田さんへの問い合わせは電話090(2395)1016へ。 |
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2012年06月22日更新 |