「広告ビジネスは、君の表現の場じゃないんだよ」

2012/06/24
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とある方から印象的なお話を聞いたので。


表現の場を求める新入社員

Ihayatoblog 2012 06 24 9 08 22
photo credit: Minhimalism via photo pin cc

広告代理店に入社する若手の中には「自分の表現で世界を変えたい」と思って入ってくる方が多いそうです。

それ自体は素晴らしいことですが、広告ビジネスをビジネスたらしめているのは「顧客のマーケティング課題を解決するために、広告という道具を使う」という前提です。

自分の表現が、顧客のマーケティング課題を解決するために使われるのなら素晴らしいことです。が、得てして現場レベルでは「顧客の課題を解決する表現」と「自分が本当にしたい表現」はマッチしないものでしょう。


そういう時、「大人になって」自分を殺した表現を作るか、「妥協して」自分の表現の土俵までうまく引き込むか、「子どものように」表現することを拒否するかは、人それぞれの選択だと思います。一般的には、大人、妥協、子どもというステップを徐々に踏んでいくものなのかもしれません。また、プロジェクトによっても自由度は変わってくるでしょう。


難しいのは「大人になること」に徹してしまうと、自分の創造性、表現を育む機会を失ってしまう可能性があることです。

博報堂を辞めました。」で知られるよるヒルズ高木さんは、子どものように自分の好きな表現活動を行い、とても生き生きと働いているように見えます。「よるヒル超会議」ではノーギャラで豪華メンツを揃えるなど、明らかに彼しかできない仕事をしています。

もし高木さんが「大人になって」博報堂にいたままだったら、今頃どうなっているか、将来どうなっているかは、空想に値するテーマだと思います(悪趣味ですが…笑)。僕は個人的に、同じ時期にフリーになった自分と重ねつつ、自らの表現を全力で追求している高木さんは、長い目で見ても幸せであるように感じます。


「広告ビジネスは、君の表現の場じゃないんだよ」という言葉から、そんなことを考えました。広告業界の皆さんはどう考えますか?