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ミナミ通り魔 暴走族総長、薬物、強姦

 大阪・ミナミの繁華街で男女2人が刺殺された通り魔事件で、逮捕された住所不定、無職礒飛(いそひ)京三容疑者(36)が、地元・栃木県の暴走族の総長をしていたことが11日、同容疑者の親族への取材で分かった。親族は「暴走族に入ってからは薬物や強姦(ごうかん)などで何度も逮捕されていた」と証言。直近の犯罪歴は覚せい剤取締法違反罪で新潟刑務所に服役。5月24日に出所したばかりだった。

 大阪・ミナミの繁華街で2人が刺殺された通り魔事件から一夜明けた11日、逮捕された礒飛容疑者の親族が日刊スポーツの取材に応じた。親族によると、礒飛容疑者は栃木県那須塩原市出身で、3人兄弟の末っ子。父親は材木店を経営していたという。

 親族は「幼少期はお母さんに甘えてばかりだった。親思いの優しい子だった」と振り返る。しかし、小学生の時、母親が病死、材木店は倒産した。父親は多額の借金を抱えた。その後、父親の新しい就職先である同県下野市(旧石橋町)に引っ越しした。年の離れた兄がいたが、親族は「3兄弟が一緒に住んだことはなく、兄弟間でも音信不通。父親にしてみれば年の離れた末っ子で、1人っ子みたいな扱いだった」と話した。

 地元の中学へ進学。高校へは進学せず、地元の暴走族に入り、総長になった。毎日、地元周辺を数十人の仲間と改造したバイクで走り回っていた。親族は「暴走族に入ってからは、けんかっ早くなり、薬物や強姦など何度も逮捕されていた。背中にコイの入れ墨をいれていた」と証言した。別の親族は「こんな事件を起こして情けない。涙が出てくる」と肩を落とした。

 また関係者によると、礒飛容疑者は2001年から数年間、栃木県内の2LDKのアパートに父親と暮らしていた。当時無職で、父親の年金で生活していたという。その後、家賃を数カ月間、滞納。礒飛容疑者と父親は部屋を出た。礒飛容疑者は04年に破産宣告を受けた。礒飛容疑者は覚せい剤取締法違反罪で新潟刑務所に服役。5月23日が満期で、24日に出所していた。出所からわずか数週間の凶行だった。

 礒飛容疑者は動機については「住む家も仕事もなく、生きていくにはどうしたらいいのか、と自殺を思い立った。現場近くで包丁を買ったが、死にきれず、人を殺せば死刑になると思った」と説明している。犯行前に預金通帳にあった約20万円を引き出し「もうこれだけしかないのか」と生きる意欲を失ったとも説明している。また、大阪府警南署捜査本部によると、同容疑者は9日に大阪に来て知人宅に泊まり、自殺するため事件の約1時間前に現場近くで包丁を購入したとしている。

 [2012年6月12日10時11分 紙面から]







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