臓器移植:「心停止後」欧米で急増 ドナー不足解消狙い
毎日新聞 2012年06月24日 09時19分(最終更新 06月24日 10時23分)
心停止後の移植は日本でも1979年から腎臓で行われている。しかし心・肺・肝臓では不可能とされ、97年の臓器移植法で脳死からの臓器提供が認められるようになった。新しい心停止移植はこの常識を覆す手法。
90年代初めに米国で開発され、95年にオランダの医学者により定式化された。臨床医によると、事故や自殺、病気などで脳に障害を受け入院、昏睡(こんすい)状態になり、人工呼吸器が必要になるような重篤な事例で、医師が「健康に回復する見通しがない」「良くても意識の戻らない状態になるだけ」などと判断して生命維持装置を外す。本人の停止に関する意思が不明なケースがほとんどで、家族の了解を得て止めるのが通例という。
数十分たって心臓が停止したことを複数の医師が確認。5〜10分間、遺体に触らない時間を置いて、移植チームが臓器を摘出する。
臓器摘出時点で心臓が動いている脳死と異なり、心停止では血流が止まるため臓器は傷む。ただ、技術の向上で長期的な成績は脳死移植に見劣りしなくなっているという。