【上海=角谷志保美】日中国交正常化40周年を記念した学術シンポジウムが23日、上海で開かれ、基調講演した唐家セン中日友好協会長(前国務委員)が、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐり冷え込む最近の日中関係に強い懸念を示した。
唐氏は、亡命ウイグル人組織の代表大会が東京で開かれたことなどを挙げ、「40周年のムードを著しく傷つけた」と不満を表明。東京都の石原慎太郎知事が進める尖閣諸島購入計画については名指しは避けつつも、「両国民の世論を動かし、利益を手に入れようとしている」「陰謀とも言える」と厳しく批判した。
その一方、「日中関係は最も重要な2国間関係の一つ」と強調し、「摩擦があってもイベントなどを中止する必要はない」との認識を示した。
続いて講演した福田康夫元首相は、世界第2位の経済大国になった中国について、「国際社会への影響力が大きくなり、それなりの責任が生じてきた」と領土問題や人権問題などで自重を求めた。
シンポジウムは上海国際問題研究院などが主催し、日中関係研究者ら約200人が参加した。