山登り: 丹沢 高原 高 山 現象 積雪期 山と安全 |
登山と安全 (八ヶ岳を例に) |
項目 |
単独 |
個人・同好会 |
山岳会 |
ガイド |
ビレイ (確保) |
実質不能 行って帰って、また行く手順もあるが迷惑 |
ビレイできる人ばかりではない |
可能 (これができなければ会ではない) |
可能 |
力量判定 |
未知の山に対して無理、行ってみるしかない |
必ずしも正しくはない |
経験豊富 | 経験豊富 |
体制 |
家族 |
家族・知人 |
システムあり |
システムあり |
保険 |
(加入しましょう) |
(加入しましょう) |
冬山や登攀を行う場合は、保険加入を義務付ける会が普通 |
保険付きが普通 |
事故対策資金 |
個人負担 |
個人負担 |
積立金あり、が普通 |
契約の範囲外は個人で |
話だけでは十分納得できないものです。
私も何度か行ってみて納得したくらいです。
八ヶ岳の一般ルートが、雪によって変化する様子を見て、 ビレイもせずに「行けた」という話や記憶があてにならないことを納得してみましょう。 右の図は、一般道と、主な難所です。 ここでは例として (1)文三郎道から赤岳 (2)横岳鎖場南の斜面トラバース (3)横岳西側の鎖場 (4)奥の院北の鎖場 の順(反時計回り)について掲載します。 ※すべて天気の良い場合です。 他の一般コースにも雪崩や難所はあります。 |
|
(1)文三郎道から赤岳
厳冬期に流されるくらいの雪になる場合もありますが、概して冬でも良いルートです。 正月や5月には雪が少なく夏道と大差ない楽なルートとなる場合もあります。 ところが、写真は5月のものですが、溶けて凍っており、鎖も埋まっている場合です。 透明な青氷は、ピックが簡単に打ち込めず、割れる。1cm単位でしか深くならない。 アイゼンも同様。 これくらいならダガーポジションで、何度もアイゼンやピックを打ち込んで進めます。2人なら、支点が多くビレイしやすいでしょう。 但し、この状況を見て、ピッケルの石突き(シュピッツェ)のままで歩くと転倒・滑落の危険が大きい事に気づかねばならない。 |
|
(2)横岳南鎖場の南にある斜面
正月の例です。 この写真は、まだまだ手前ですが、既に深雪がサラサラ流れやすく、先のほうはヤバイ(ピッケルのシャフトも効かず体ごと流されそう)と感じていました。 前方の尾根の右側を登ってから左の鎖場へ行く。もちろん鎖は見えない。 |
|
ラッセルの深さは、先行者の跡を利用しても腰くらいあり、
この先は我々の力量ではムリと判断して引き返しています。
スノーバーなどのアンカーがあっても、強い負荷には流されそうな雪質でした。
ここで追い返されて、事故は減るのでしょう。 ところが、雪が少なく、白い割には夏と変わらない年もあるのです。 「白」は雪だけでなく、エビのしっぽなどの着氷もあり、遠目ではわかりにくいのです。 |
|
(3)横岳西側の鎖場
これは5月の例です。 岩が黒く、楽しい春山と思っていたら、残っている雪は別でした(鎖は見えない)。 日陰でサラサラ流れやすいが、表面は西日で溶けて凍った分厚いサンクラスト。 一部、クラストの下の雪が流れて空洞となり、ピッケルが支点として機能しない部分もありました。 これはビレイ必要でしょう。 なお上記のことは、写真だけではわからない。遠目ではさっぱりわからない。 |
|
ところが、
右は別の年に横岳から同じところを振り返って撮影したものです(正月の例)。
黒いのが登山者、下のほうにクライマーがいる様です。
この年は、白い割には積雪量が少なく、鎖が出ていたのでビレイも不要でした。技術的には、夏と大差なかったです。 白い色は着氷もあり、遠目では登山道の様子はわからないのです。 |
|
(4)奥の院北の鎖場
この例では、5月でもハシゴが8割埋まっており、右下トラバース道の鎖は出ていませんでした。 先輩によると、厳冬期には、この辺りが雪のナイフリッジになるそうです(撮影地点が既にリッジ状に近かった)。そういえば別の先輩は夏でもわざわざ岩の上を行っていた。 通過方法には2通り考えられます。 1.ビレイして、雪面をトラバース。斜面は切れ落ちていますので、確実な支点が必要。 2.岩の上を行く。風があると危険。ビレイ点少ない。転落危険。 この写真の場合、風が弱かったので実態は2が多かったようです。雪に踏み後はほとんどありませんでした。 ところが、雪が少ない年は、鎖を利用して、足元もしっかりしており、夏と何ら変わらない事もあります。 |
|
(5)地蔵尾根も、
厳冬期は巨大な雪庇が発生し、尾根の上ではなく、
雪庇の急な側面をトラバースする事になった年もあります(沢側への滑落リスクがある)。無雪期と全く地形が変わる。
(6)中岳沢は4月ごろに雪が落ちる事が多いらしいですが、 5月でも残っていて、いつ落ちるか判らない場合もあります。厳冬期でもクラストによる表層雪崩は起きやすい。 (7)硫黄岳から赤岳鉱泉への下りは、ちょっとした雪庇、ガス時のルートファインディングが、あなどれない。 |