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音力発電って何だ!? エアバスも大注目の日本発グリーンベンチャー(1) - 09/04/01 | 12:20

 首都高速中央環状線の名所の一つである五色桜大橋。荒川に架かる2階建て構造のこの橋は夜間、LED(発光ダイオード)照明によって美しくライトアップされる。この電源の一部に、将来の可能性が注目されているまったく新しい発電方法が用いられている。橋の下には、振動で電気を生み出す特殊な装置が10台設置されているのだ。

 音や振動で電気を生み出す――このユニークな発電システムを発明したのは、速水浩平氏。「電圧でスピーカーを振動させることができるのであれば、逆に音や振動から発電できるはずだ」。小学生の頃、毎日のようにたくさんの発明をノートに書き連ねていた速水氏が思いついた発明の一つが、「音力発電」のアイデアだったという。

 発案からしばらく眠っていたこのアイデアが花開いたのは大学に入学してから。慶應義塾大学環境情報学部2年生の夏、研究テーマに音力発電を選び、子供のときに描いた夢の実現に向けて、研究に没頭する日々が始まった。

 実は、「音や振動から電気が生まれる」という基本原理自体に目新しさがあるわけではない。問題は、その発電効率が極めて低いと考えられていたことだ。どのようにすれば小さなエネルギーを効率的に電気に換え、実用に耐えられるものになるか、この答えを見つけることが速水氏の研究テーマになった。「研究を開始してから最初の3カ月間は実験をしてもなかなか発電をしない。発電したとしても、ごくわずかな電気しか発生しなかった」という。しかしあきらめずに次の3カ月も研究を続けた結果、2年生の12月に、発電効率の高い独自の音力発電システムを生み出すことに成功する。

 ブレークスルーの秘密は、「圧電素子」を採用したことにあった。圧電素子とは水晶やチタン酸バリウムなど外から力を加えると収縮して電圧を発生させる素子のこと。これを用いることで発電効率が劇的に向上した。さらに圧電素子に共振膜を取り付けたり、振り子を取り付けたりすることで振動を増幅。これも発電効率の向上につながった。


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