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反原発信者の馬鹿の一つ覚えに「内部被曝は外部被曝より危険」というのがあるので、極端な例を上げて論証してみます。たぶん、彼らが論拠としているのは琉球大学の矢ヶ崎氏の以下の小論と大差ない内容だろうと思うからです。
内部被曝についての考察[PDF]
この小論は、福島原発事故の直後にTwitterに流れてきたものだったと思います。ICRPやWHOに真っ向から挑戦する意欲的な(笑)考察ですが、これを信用するなら世界標準の放射線治療を受けることは不可能になります。
ここで唱えられているのは主観的な「内部被曝による障害のメカニズム」であり、実証的な根拠が何も示されていません。また、政治的な市民団体のために書かれたものでしょうが、それにしても「恐ろしく過小評価するものです」「まるでアメリカ政府の代弁者のような言い方」「ウランが発ガンを誘発する根拠は充分すぎるほどあります」など、無意味な強調が随所に散りばめられています。
矢ヶ崎氏によれば、飛程の短いα線やβ線は、体内に取り込まれると周辺の小さな領域に集中的なダメージを与えるために、遺伝子の異常をたくさん作るということらしい。
左図のように、γ線は飛程が長いので、遠くの細胞まで傷つけるけれどもその密度は低い。これに対して、α線の場合は隣同士の細胞が連続して傷つくので、細胞の修復機能が誤って作動するというモデルが提示されています。
いやはや、これでは低線量の内部被曝など恐ろしくてたまりませんね。
では、実際に医療で行われているRI内用療法はどのようなものか、毎度参考にしているteam_nakagawaのブログから見てみましょう。
数十年に渡る実績を持つI-131内用療法は、
・I-131が甲状腺細胞に選択的に取り込まれること
・I-131が放つβ線の飛程が短いこと
を利用したものです。
「矢ヶ崎モデル」から見るとずいぶん乱暴なことをする、と感じた人は正解です。
I-131をカプセルで飲み込んでがん細胞に取り付くまでの間も、がん細胞以外の様々な細胞に対してβ線を放出することは避けられないでしょう。でも、そこに長くとどまることはなく、甲状腺由来のがん細胞に取り付いてからの期間が長い(それでも半減期は8日だから、短期間に集中して叩くのですが)ことが、治療に使われる所以だと思われます。
もし、内部被曝による低線量のα線がそんなに危険だとするのなら、I-131内用療法でも、内服後通過する消化器に始まり、がん細胞に取り付くまでに通過する各器官に与える線量などを考慮すれば、かなりの副作用が伴うはずです。東大病院では毎年数十名の患者にこの治療を施しているそうですから、問題があればとうの昔に多数の医療事故を起こし、裁判にかけられているでしょう。
しかし、人間の体には少量の放射線被曝に対する細胞の修復機能があるために、I-131が他の細胞に与えるダメージは限定的なものだということのようです。実際、治療の場面では多量の放射性ヨウ素が投与されます。
こんなに乱暴なことをしても、がんが治療できれば社会復帰している人が大勢いるのです。その後の文章でも説明がありますが、追跡調査で奇形児が生まれるリスクも増加していないことがわかっています。
「内部被曝は恐ろしい」「リスクは解明できていない」などといたずらに恐怖を煽るような似非科学者は、現場で放射性物質を患者に投与している医師にどう向き合うのでしょうか?投与されたが運悪く死亡した患者がいた場合に、その医師は医療事故で訴えられるのでしょうか?
劣化ウラン撲滅の市民団体のために主観的な学説を開陳するだけなら実害はないけれども、国民の多くが放射線被曝を恐れているいまの状況下で、余計な心配をあおるのは明らかに実害を伴います。
内部被曝という言葉を「外部被曝と比較できないような危険な被曝」として使っている人が、このブログにもTwitterにもたくさんの書き込みをしてきました。しかしそれは上記のような、実証を伴わない主観的な珍説をもとにしたものと私は判断します。それが珍説でないというのなら、医療で使われているRI内用療法の廃止ないし抜本的見直しを求めるのが、科学者としての正しい態度ではないでしょうか。

反原発信者の馬鹿の一つ覚えに「内部被曝は外部被曝より危険」というのがあるので、極端な例を上げて論証してみます。たぶん、彼らが論拠としているのは琉球大学の矢ヶ崎氏の以下の小論と大差ない内容だろうと思うからです。
内部被曝についての考察[PDF]
この小論は、福島原発事故の直後にTwitterに流れてきたものだったと思います。ICRPやWHOに真っ向から挑戦する意欲的な(笑)考察ですが、これを信用するなら世界標準の放射線治療を受けることは不可能になります。
ここで唱えられているのは主観的な「内部被曝による障害のメカニズム」であり、実証的な根拠が何も示されていません。また、政治的な市民団体のために書かれたものでしょうが、それにしても「恐ろしく過小評価するものです」「まるでアメリカ政府の代弁者のような言い方」「ウランが発ガンを誘発する根拠は充分すぎるほどあります」など、無意味な強調が随所に散りばめられています。
矢ヶ崎氏によれば、飛程の短いα線やβ線は、体内に取り込まれると周辺の小さな領域に集中的なダメージを与えるために、遺伝子の異常をたくさん作るということらしい。
いやはや、これでは低線量の内部被曝など恐ろしくてたまりませんね。
では、実際に医療で行われているRI内用療法はどのようなものか、毎度参考にしているteam_nakagawaのブログから見てみましょう。
甲状腺の細胞だけがヨウ素を細胞内に取り入れるという性質を、がん治療に応用したものが「放射性ヨウ素内用療法」です。
なにやら、難しそうな治療ですが、実は非常に単純で、I-131を小さなカプセルに入れて、患者さんに口から飲んでもらうというものです。(中略)
I-131は、主に、飛程(注1)が数ミリの「ベータ線」(ウィキペディアリンク)を放出します。I-131が、甲状腺がんの細胞に取り込まれれば、がん細胞だけが、“選択的に”、かつ、“内部から”攻撃を受けることになります。甲状腺がんだけを“ピンポイント”に照射できるのです。
なにやら、難しそうな治療ですが、実は非常に単純で、I-131を小さなカプセルに入れて、患者さんに口から飲んでもらうというものです。(中略)
I-131は、主に、飛程(注1)が数ミリの「ベータ線」(ウィキペディアリンク)を放出します。I-131が、甲状腺がんの細胞に取り込まれれば、がん細胞だけが、“選択的に”、かつ、“内部から”攻撃を受けることになります。甲状腺がんだけを“ピンポイント”に照射できるのです。
数十年に渡る実績を持つI-131内用療法は、
・I-131が甲状腺細胞に選択的に取り込まれること
・I-131が放つβ線の飛程が短いこと
を利用したものです。
「矢ヶ崎モデル」から見るとずいぶん乱暴なことをする、と感じた人は正解です。
I-131をカプセルで飲み込んでがん細胞に取り付くまでの間も、がん細胞以外の様々な細胞に対してβ線を放出することは避けられないでしょう。でも、そこに長くとどまることはなく、甲状腺由来のがん細胞に取り付いてからの期間が長い(それでも半減期は8日だから、短期間に集中して叩くのですが)ことが、治療に使われる所以だと思われます。
もし、内部被曝による低線量のα線がそんなに危険だとするのなら、I-131内用療法でも、内服後通過する消化器に始まり、がん細胞に取り付くまでに通過する各器官に与える線量などを考慮すれば、かなりの副作用が伴うはずです。東大病院では毎年数十名の患者にこの治療を施しているそうですから、問題があればとうの昔に多数の医療事故を起こし、裁判にかけられているでしょう。
しかし、人間の体には少量の放射線被曝に対する細胞の修復機能があるために、I-131が他の細胞に与えるダメージは限定的なものだということのようです。実際、治療の場面では多量の放射性ヨウ素が投与されます。
なお、I-131内用療法で使われる放射線の量ですが、甲状腺がんの治療では、3.7~7.4 GBq(1 GBq=1,000,000,000 Bq=10億Bq)を投与しています。これは、福島第一原発で問題となっている、I-131の飲料水1kgの暫定規制値300 Bqと比べて1千万~2千万倍に相当します。(水の量で言えば、1万~2万トン!)バセドウ病でも、甲状腺がんの10分の1くらいの放射線量を使います。
こんなに乱暴なことをしても、がんが治療できれば社会復帰している人が大勢いるのです。その後の文章でも説明がありますが、追跡調査で奇形児が生まれるリスクも増加していないことがわかっています。
「内部被曝は恐ろしい」「リスクは解明できていない」などといたずらに恐怖を煽るような似非科学者は、現場で放射性物質を患者に投与している医師にどう向き合うのでしょうか?投与されたが運悪く死亡した患者がいた場合に、その医師は医療事故で訴えられるのでしょうか?
劣化ウラン撲滅の市民団体のために主観的な学説を開陳するだけなら実害はないけれども、国民の多くが放射線被曝を恐れているいまの状況下で、余計な心配をあおるのは明らかに実害を伴います。
内部被曝という言葉を「外部被曝と比較できないような危険な被曝」として使っている人が、このブログにもTwitterにもたくさんの書き込みをしてきました。しかしそれは上記のような、実証を伴わない主観的な珍説をもとにしたものと私は判断します。それが珍説でないというのなら、医療で使われているRI内用療法の廃止ないし抜本的見直しを求めるのが、科学者としての正しい態度ではないでしょうか。
Comment
I-131の吸収過程において、消化管、血管などは必ず通過すると思いますが、 終末分化して分裂能を失っている細胞(たとえば腸じゅう毛の上皮細胞や血管内皮細胞)はDNA損傷しても癌化しませんし(癌になるのは幹細胞や前駆細胞といわれる、分裂能力を持った細胞です)、 DNA損傷しても細胞死をまぬがれれば大きな害にはならないと思います。 内部被爆の場合、各臓器(特に肺)の幹細胞を直撃する場所にホットスポットとして長期にわたり放射性物質がとどまった場合に、 発癌リスクがあがると考えられます。 もし腸のクリプトと呼ばれるひだ状の構造の奥底に存在する幹細胞に I-131が長期にわたってとどまれば、 癌化や急性消化管障害を起こすかもしれませんが、 腸の幹細胞はヨウ素の吸収にかかわらないのでI-131の治療では問題にならないのだと思います。
しかし、矢ヶ崎氏の言うとおりであれば、これほど大量の被曝をして癌にならないほうが不思議なくらいだと言えませんか?矢ヶ崎氏の説明を読んだあとでI-131内用療法を知れば、がんを治療するよりがんを作っているように感じます。
逆に、これほど大量の内部被曝を利用した「治療」が存在するということは、現在の原発事故由来の放射性物質による内部被曝など恐るるに足りないということがわかるのではないでしょうか?
今回のテーマは「内部被曝は外部被曝と比較にならないほど危険か?」です。しかし、実際にはそのリスクは実証に基づいて定量化されています。その事実を無視して恐怖を煽る無責任な言説がむしろ危険だと申し上げています。
明らかに情弱狙いの、恐怖を煽るための作文だと思いますよ。たくさんの読者が「臨床的エビデンスが乏しく決定的な情報とは言えない」と判断できるなら、こんな物を書いても何の効果もないのですから。
>少なくともがん治療で使われる量では、I-131による発がんのリスクは考慮されるべきです。(ただし原発由来の内部被曝でこのレベルの量にはなりませんので、誤解のないよう。)
このレベルどころか、桁が格段に違います。それですら危険だとあおるために「内部被曝」を特別扱いしている人がたくさんいるので本文を書いたのですよ。
繰り返しになりますが、矢ヶ崎氏の文章を信じるならI-131内用療法の発がんリスクは100%に近いんじゃないですか?仮に矢ヶ崎氏の「線量が低いほうがむしろ危険」に依拠して「これは線量が高いから大丈夫」というのであればまた別のトンデモ論法になっちゃいますね。
ご指摘が論理破綻を免れていると思うのでここまでレスしましたが、コメントのルールを守ってくれない書き逃げ可能な捨てハンの方とはこれ以上話し合うつもりはないのでこれまでとします。
頂き、どうも有難うございました。
>誤解を誘導する極論になっている
その自覚は全くなかったのですが、判断は読者に委ねることにします。
最初に断っておけば良かったのですが、私とあなたの間の埋められない溝があります。それは、ICRPの基準が甘いか厳しいか、です。私にはICRPの基準は無意味なほど厳しいと思われます。
人々が放射線以外のリスクにはかなり大胆に応じているのを見ると、放射線への怯えは異常だと思いますよ。
根本ですれ違ってましたが、コメントのやり取りは楽しませてもらいました。ありがとうございます。
塩分は過剰に摂取すると死ぬので、あなたは塩分を今後一切摂らないで生きていくと宣言してください。そうすれば私も汚染された食品だけで生きて行ってあげますよ。
あなたみたいな人が薬害や公害を増やしている。
ゲノム解析が導入されて以降、リスクは解明されているようだが・・・
似非科学者ねえ?あなたのことですか?
東大アイソトープ研究所所長 児玉龍彦さんの緊急記者会見
http://www.youtube.com/watch?v=oFk2i96MLPQ
http://www.youtube.com/watch?v=nMGcZOzaEkA
内部被曝は問題ない?馬鹿の一つ覚えはどちらでしょうか?
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