社説:年寄名跡問題 未来の角界担える人を

毎日新聞 2012年06月24日 02時30分

 サラリーマンのみなさん、定年まで働ける権利が手に入るとしたら、借金してでも買いますか。退職時、目をかけていた後輩に売れば借金を返せるばかりか、値上がりしていれば売却益が出るかもしれない。

 財団法人日本相撲協会は近年、そんな仕組みによって運営されている。親方が所有する年寄名跡(親方株)は、力士が30歳前後で現役を引退した後も65歳の定年まで協会員としての雇用を保証する「身分証明書」で、現在は105ある(北の湖、貴乃花の一代年寄は除く)。

 現行の制度は名跡の売買は想定しておらず、師匠が部屋を継ぐ弟子に無償で名跡を譲る代わりに弟子が師匠の家族の面倒を見た時代もあった。個人間の売買は長年にわたって黙認状態にあったが、新しい公益法人に移行すれば認められない。

 協会は先日、一括管理する代わりに所有者の親方に特別功労金3000万円を支払う案を撤回することを決め、金銭授受による譲渡が判明した場合は継承者を解雇するとした。

 功労金の代わりに親方は従来通り、後継者の指名権を保持する。金銭授受をチェックする方法は示されておらず、実効性には大きな疑問符がつく。もし水面下での売買が繰り返されるならば、今までと何も変わらない。組織改革に向けた昨年来の議論は一体何だったのか。

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