名古屋グランパスは藤本淳吾(28)、永井謙佑(23)のゴールで磐田に快勝、リーグ戦再開後2連勝で勝ち点を23とし、8位に浮上した。首位の仙台は浦和と引き分け、勝ち点31。浦和は同26。2位の広島も大宮と引き分け同29。川崎−横浜Mも引き分けた。
◆名古屋2−0磐田
技術以上に「頭脳」が詰まったフリーキックだった。前半ロスタイム。ゴール右約25メートルでボールをセットした藤本は、冷静に相手のGKを分析した。「スタメン表でJリーグで出場がないことは確認していた。ボクがだいたい壁の上(ゴール右)を狙ってくると知っていたと思うし、それを見越して『絶対動く』と」
キックした瞬間、磐田のGK竹重は藤本の計算通りに右へ動いた。勝負あり。逆の左サイドを狙ったボールは「ミスキック」と照れ笑いするように中央付近へ飛んだが、それでも十分。「試合前にビデオで藤本さんのフリーキックを見ていた」と言うJリーグ初出場の竹重を、藤本の読みが完全に上回った。
精密レフティーは今季はセットプレーにやや苦しんできた。アディダス社製のJリーグ公式球がモデルチェンジし、藤本は当初、「雨が降ったりすると滑りやすい」と感想を語っていた。繊細な感覚にズレが生じていたが、開幕から3カ月でアジャスト。チームにとってJリーグでは今季初のフリーキックからの直接ゴールとなった。
藤本は後半開始直後にもワンタッチパスから永井のゴールをお膳立て。「強すぎたらGKに取られるし、一方で永井のスピードも殺さないように出した」と振り返る絶妙のさじ加減。技巧派・藤本ならではの1ゴール1アシストだった。
攻撃では藤本が活躍し、守りでも前節までリーグトップタイの31得点を挙げていた磐田を完封。最高の形でホームでの連敗を「3」で止めた。「チーム全体のバランスがよくなっている」と藤本。鹿島、磐田と実力チーム連破し、順位は8位まで上昇。グランパスがいよいよ上げ潮に乗った。
(木村尚公)
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