亡くなったブログ主の身元を100%確認する術はない
ただ、多少のスタンスの違いはあれ、ユーザーのコンテンツを削除したがらない姿勢は、各サービスで共通している。理念的な話とは別に、維持するコストと削除するリスクが関係しているのだ。取材したどのサービスからも、ユーザーが死亡したブログやページがデータセンターやシステム上の大きな負荷になるといった懸念は聞かれなかったが、逆に、死亡したユーザーやその遺族の身元照会を不安視する声は多かった。
多くのブログやSNSはメールアドレスと姓名さえ入力すれば始められる。メールアドレスが機能しているなら、自己申告の個人情報で架空の人物として振る舞ったり、場合によっては実在する別の人物のふりをしたりもできる。その状態から身元を100%確認するのは不可能だ。
そのため、遺族からの削除依頼の対応も手探りになる。ある企業は「その都度『ここまで提示していただいたら対応します』とやりとりさせていただいて、お互いに信頼できるラインを見いだすという流れをとるしかないんですよね。ここの問題は非常に難しいですね」と話していた。
誤ってアクティブなブログやページを削除してしまうリスクと、数千万人の会員の生死をチェックするコスト。それに対して、ユーザーからの要望はほとんど聞かれない現実。この、あまりに釣り合わない状況から、管理人が亡くなったWebサイトは今後も膨大に増えていくと思われる。そして、運営側の事業が続く限りネットに残り続けるだろう。少なくとも当分の間は。