死後に関する利用規約はまちまち――適用される例もまれ?
個人の“遺産”の中でもブログやSNSなど比較的オープンなものなら、誰でも簡単にアクセスできる。検索ボックスに「管理人が亡くなったサイト」などの言葉を入力してクリックするだけで膨大に見つかるはずだ。
しかし、それらをよく見ると、管理が行き届いた“お墓”もあれば、スパム書き込みなどで荒れ放題になった空き家、すべての動きが止まったゴーストタウンのようなWebサイトなど、複数のタイプに分かれると気付くはず。さらに、切れたリンク先から、すでに姿を消した別のWebサイトの存在も思い出すかもしれない。
管理人が不在になったという出発点は同じなのに、なぜそうした差が生まれるのだろう。
近年は、TwitterやFacebookが亡くなったユーザーを遺族や知人が通知する機能を追加するなど、会員の死後を想定したサービスを盛り込む動きが世界的に生まれている。だが、国内向けのブログやSNSではそこまで踏み込んだサービスを提供するところはまだない。
利用規約を見ても、会員の死亡時の対応について明記していない場合が多く、業界全体で標準的な対応法のようなものはまだ固まっていないのが現状のようだ。
会員死亡時に関する、主な国内サービスの利用規約の違い
では、会員が死亡した時、現場ではどんな対応をしているのだろうか。死亡時の措置について利用規約に明記していないlivedoor Blogの場合、「ご遺族様からのご連絡により確認しております」(NHN Japan広報)とのことで、能動的な確認は特に行っていないという。遺族からの連絡もまれで、過去半年の当該対応は0件。ほぼノータッチに近い状況だ。
規約上、会員死亡後に退会措置がとれるアメーバブログも「我々が積極的に退会処理に動くことは一切ありません。規約としてはあるものの、それが適用されるケースはほぼないと考えていただいていいのかなと思います」(Ameba広報)と語る。こちらも、遺族や関係者から削除の要望を受けた場合のみ、身元照会をした上で処理するというスタンスで、その実績はサービスを開始した2004年から2012年現在までで1ケタという。
SNSは少し事情が異なるようだ。mixiの場合、ユーザーが死亡しても能動的に削除に動くことはないが、一時的に非公開の措置をとるケースはあるという。
「mixiはプライベートなコミュニケーションの場であることに重要な価値があると考えています。そのため、例えばニュースで報じられるような事件や事故に巻き込まれてしまった方など、普段のプライベートな場とは別のところで話題になる危険がある場合は、一時的に該当ページを非公開にする可能性があります」(ミクシィ広報)。ただし、その場合もページを抹消するわけではないため、遺族などから要望があり、規定の手続きを取れば、復活させる(または完全に削除する)こともできる。