やはり西武に居場所はないということか。西武のエース・涌井秀章投手(25)がリーグ戦が再開した22日に一軍に再登録され、この日のオリックス戦(大宮)で5月16日の横浜線以来となる一軍のマウンドに立った。
現場サイドにとっては心強い戦力の復帰だが、その裏側で球団から事実上の「トレード通告」とも取れる厳しい言葉があったことが判明。どうやら「エース放出」という事態は避けられそうにない。
嵐は続きそうだ。写真誌「フライデー」に掲載された女性問題による謹慎が解除となった涌井。「一軍でやるしかない」と語っていた獅子のエースは22日のオリックス戦、3—3の同点で迎えた9回、4番手で登場。1イニングを無失点に抑え、上々の〝再スタート〟を切った。
だが、親会社である西武ホールディングス(HD)の「エース放出の意向」は変わっていない。涌井に異例の処分が下った5月22日以降、球団はフライデーで報じられた記事の事実確認のため関係者を福岡と札幌に派遣し、徹底した現地調査を敢行したという。記事の当事者である女性や関連する飲食店、宿泊ホテルなどの立ち入り先で直接聴き取り調査を行い、記事の真偽、女性の背後関係等を確認したようだ。
なにより西武側が知りたかったのが、涌井と以前から関係があり、球団が再三にわたり関係解消を迫って裁判沙汰にまでなっている元暴力団員X氏の関与があったのかどうかだったという。
球団の飯田則昭専務が「(フライデーの)記事の内容について調査した結果、記事以上の事実はなかった」と16日の会見で話したように調査結果は「シロ」だったわけだが、グループ内での涌井の位置付けは変わっていない。涌井には謹慎解除の申し渡しの席で球団から「今後、たとえどこに行ったとしても西武の涌井という自覚を忘れずに頑張ってほしい」との言葉があったという。「(試合後など)どこの場所に行っても」という意味かもしれないが「どこの球団に行っても」と、受け止めることもできる。
それが7月末のトレード期限を念頭においたものか「今オフ」という含みを持たせたものなのかは不明だが、22日の株主総会、さらに悲願の株式再上場を控えた親会社・西武HDのエースに対する姿勢はどこまでも冷たく厳正なことがうかがえる。
チームにとって涌井は必要不可欠な戦力だが、理由はどうあれ、エースや4番がトレードで他球団に移籍した例は枚挙に暇がない。球界内では「西武が2年前から動いていてまとまらないトレードが急にまとまるとは思えない。多くの球団がその背後関係を認識している状況では難しいのでは」との声もあるが…。しばらくは涌井自身が、西武の〝台風の目〟になりそうだ。