原子力規制委員会設置法と原子力基本法に「(原子力の利用は)国の安全保障に資する」という文言を入れた日本が、内外から「核武装の道を開いた」という疑惑が提起されたことを受け、そうした意図はない、と一歩後退する姿勢を見せている。
枝野幸夫経済産業相は22日の閣議後の記者会見で、原子力基本法などに「安全保障」という文言を明記したことについて「立法者(議員)の意志と内閣、政府としての解釈が一致して明確である以上、拡大解釈はない」と語った。法の文言はそのままにして、政府の有権解釈を厳密にしたいという意味だと解釈されている。
枝野経済産業相は「政府は(核テロを防止する)核セキュリティーや(核物質の軍事転用を防ぐ)保障措置や核不拡散の取り組みを原子力規制委員会に一元化するという観点から(『安全保障に資する』という文言が)加えられたと理解している」と語った。
法案を提出した自民党の吉野正芳議員は22日、本紙の電話インタビューに対し「安全保障条項は、日本の核兵器開発を防ごうという趣旨から入れたもので、監督官庁を独立法人化してもう少し透明性を持たせようということ。しかし、問題視されるのなら、これから話し合って法案を再び改めることもできる」と語った。
藤村修官房長官も、21日の記者会見で「政府は、原子力を軍事的に転用するという考えは全くない。原子力の平和利用原則となっている非核三原則の堅持にも変わりはない」と語った。