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週刊・上杉隆
【第174回】 2011年5月12日
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上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

世界で2ヵ国しかない、グリーンピースの海洋調査を断った国・日本。政府は今すぐ独自に調査をやり直すべきだ

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 「日本は魚の頭と内臓を取ってサンプリングを行なっています。放射性物質は身に溜りやすいからというのがその理由です。確かにそれはそうなのですが、内臓や頭に蓄積されるのもまた事実で、わざわざ除去する必要はないと思えます。たとえば、食物連鎖で考えても、大きい魚が小さい魚を食べるときに頭や内臓を外すことはありませんし――」

 グリーンピースジャパン事務局長の佐藤潤一氏はこう嘆く。

 このように世界に類をみないサンプリング方法の結果だからであろうか、日本では小魚のコウナゴだけに基準値を超える放射能汚染が見つかっている。

 しかし、それはコウナゴが頭と内臓を除去できるほど大きくないからであり、他の魚に同様の調査をすれば、結果も違ってくるというのは穿ちすぎだろうか。

放射能汚染の影響を受けやすい
海藻類や貝類などこそ調査すべき

 今回、グリーンピースが海洋調査の採取サンプル予定として日本政府に提出していたリストは次の通りだ。

海水
底質
海棲生物
  ―貝類(アサリ、イガイ、マテガイ、ホタテガイ、ウニ)
  ―海藻類(ひじき、わかめ、こんぶ)
  ―魚類(コウナゴ、マイワシ、カタクチイワシ、アイナメ、ニシン、アナゴ、アンコウ、サンマ)

 この書類提出から5日後の4月25日、突然日本政府は、初めてとなる海洋調査を行った。その結果が、前記のとおりである。

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上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著) 『放課後ゴルフ倶楽部』 『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)  『有事対応コミュニケーション力』(共著) 『国家の恥 一億総洗脳化の真実』 『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』 『大手メディアが隠す ニュースにならなかったあぶない真実』


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