仙台POSSE活動報告

仙台POSSEでは現在被災地支援に取り組んでいます。このブログでは活動の模様を紹介していきます。メンバーは随時募集中!!

京都:舞鶴市の生活保護の水際作戦に対し、抗議文を提出しました。

2012-06-21 10:17:02 | 活動報告(その他)


本日、京都府庁にて記者会見を行いました。舞鶴市で行われた生活保護の水際作戦に対する抗議文を6月19日(金)に舞鶴市・京都府に提出したためです。
京都POSSEのメンバー18名が会見に参加しました。

舞鶴市役所西支所では、600円しか所持金がなく母子世帯で現在も妊娠しているために働くことができない人が何度も生活保護を申請したいと訴えたにもかかわらず、追い返していました。6月12日に私たちのスタッフが同行しても「お断りした」などと申請をさせない対応を一貫させ、閉館後まで粘った私たちに「業務妨害だ」とどなりたて、申請書を置いて帰ろうとしたところ「忘れ物ですよ!」と正当な理由もなく申請を拒否しようとしました。この日のやり取りは全て録音に残っています。

私たちが府と交渉し、市に指導させる過程で、市の担当者は「忘れ物」だと言っていた申請書を後になって「受理していた」と態度を翻しました。しかし、実際に反省の色は見えず、後日5名もの職員で当事者の家に押しかけ、現在は連絡を絶っているお腹の子の父親を同じ世帯にいるものとして申請しなおすことを迫りました。

6月初頭から保護を申請していた彼女は、今もなお保護が決定されていない状態にあります。急迫性の高い場合は速やかに保護をするよう生活保護法に定められていますが、この点については京都府は自治体の裁量として指導することを避けています。


2012年度の札幌市の姉妹孤独死事件も、3回も福祉事務所を訪ね、その全てを断られています。これは人の生命にかかわることです。舞鶴市が謝罪・釈明を行い、こうした生活保護制度に逸脱する対応を改善するまで、さまざまな働きかけを行っていきたいと思います。

今回の記者会見は、そのような狙いのもと、京都・大阪の多くの弁護士・支援団体の協力で成功させることができました。みなさんの注目が、現状を打破する声となります。私たちだけの力では、舞鶴市に謝罪させることも、京都府に十分な指導をさせることもできませんでした。本当に悔しく思っています。舞鶴市での不当な水際作戦を無くすには、多くの方の監視や抗議の声が必要です。今後も本ブログなどで報告してまいりますので、よろしくお願いいたします。

より詳しい経緯については下記の抗議文をご覧ください。
(PDFはこちら:http://www.npoposse.jp/seihomaiduru.pdf

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京都府知事 山田啓二様
舞鶴市長 多々見良三様
京都府健康福祉部福祉・援護課長殿
京都府舞鶴市保健福祉部福祉援護課長殿
京都府舞鶴市市民環境部西支所保健福祉係長殿


抗 議 文



2012 年6 月19 日
NPO 法人POSSE(ポッセ) 事務局長 川村遼平
NPO 法人POSSE 京都支部 代表 川久保尭弘
京都市下京区西木屋町通上ノ口上る梅湊町83-1 2 階
「ひと・まち交流館」京都市市民活動総合センター内
TEL:075-365-5101 FAX:075-365-5102
E-mail:kyoto@npoposse.jp



1、抗議文を送るに至った経緯

 去る6月11日、木村さん(30代・女性・仮名)からPOSSE 事務所へ生活相談の電話がありました。シングルマザーで小学生以下の3人の子どもを抱える木村さんの所持金は600円しかない状態でした。彼女は持病や借金を抱えながら、子どもの養育や自身の健康状態のため仕事ができず、ガスや電気の料金も滞納してしまっている状態でした。また、彼女は現在妊娠中で、今すぐに働ける状況ではありませんでした。今年の2月から失業しており、現在は児童扶養手当と子ども手当による収入しかなく、月約8万円で家族4人で生活していました。市内に住む母親や兄弟も生活苦で、とても木村さん一家を援助することは難しい状況でした。

 そのような状況下で、木村さんは6月初頭に舞鶴市役所に自身の窮状を訴えましたが、社会福祉協議会の貸付制度を利用することを勧められただけでした。その後社会福祉協議会から借り入れた2万円も使い果たし、6月11日に再度市役所(西支所)を訪れたにもかかわらず、きちんとした説明もなく追い返されました。木村さんは11日に再度電話で「相談ではなく申請したい」と訴えましたが、出せんもんは出せん、法律分かってるのか、業務妨害だ、などの厳しい応対をされ、電話を切られてしまったそうです。11 日に電話で木村さんから相談を受けた京都POSSEのスタッフ3名が12日に西支所へ同行し、「生活保護を申請したい」と木村さんとともに約30分にわたり主張し続けました。ところが、対応した職員は「お話については先ほどさせてもらった通りなので」と説明を拒みました。同じく担当職員であるA 氏は、申請したいと伝えても「それはもうお断りしたんですよ」と、申請させないという態度を貫きました。また、木村さん一人であれば相談を受ける、あるいは私たちPOSSEスタッフと職員だけで話をしよう、とA氏から提案がありました。本人のいない場で私たちが意思決定することなどできませんし、申請を受けるかわからない「相談」に木村さん一人だけ連れて行かれることも避けたかったため、その提案を断りました。すると、「もういいです」と、職員たちは自分のデスクに戻ってしまいました。

 このやり取りで気分が悪くなってしまった木村さんが外の空気を吸いに出ると、その隙にA氏はデスクからも姿を消しました。フロアにはA氏の部下である他の係員も数名いましたが、「(担当者のA氏を)呼びに行っている」、「担当じゃないのでわからない」ととりつくしまもありませんでした。

 1時間近く待ってもA氏が姿を現さないため、自前で用意した申請書を提出しようとしても、「分からない」「私は受け取る担当ではないので」などの回答を繰り返しました。私たちが閉館時間を過ぎても職員と押し問答していると、A氏が戻ってきて、「もう時間です」「業務妨害」と強い口調で怒鳴り出しました。最終的には数名の職員が立ち上がり、「帰ってください」と口々に言う、異様な光景となりました。一向に申請書を受け取ろうとしようとしない舞鶴市の対応に対し、木村さんは申請書をカウンターに置き「申請します」とはっきりと伝え、私たちはその場を後にしました。しかし、職員は「それは受け取りませんよ。持って帰ってくださいよ。」と言い、私たちの後ろから、カウンターに置いた申請書を「忘れ物ですよ!」といってつき返そうとする職員の大きな声が何度も聞こえました。
 
 私たちはこのやり取りの間、厚生労働省や京都府の担当者にも電話をし、当然このような対応は違法であると回答を得ました。京都府の担当者であったF 氏から舞鶴市役所へ指導していただきましたが、結局現場での対応は変化がありませんでした。舞鶴市役所本庁は、京都府から指導を受けたにもかかわらず西支所を指導しませんでした。帰途、他の支援者の方の情報で、舞鶴市の本庁でも水際作戦が起きていたことを聞きました。

 その後、6月15日に、5名の職員が木村さん宅を訪問しました。「忘れ物」と言っていた申請書は「受理した」と伝えられましたが、書類に不備があったとの理由で申請書の再提出を迫ったそうです。そこで指示された内容は、完全に縁が切れてしまっているにもかかわらず、妊娠している胎児の血縁上の父親を、同一世帯としなければ手続きを進められないというものだったそうです。当然、急迫保護の実施には至っていません。15日に舞鶴市役所にあらためて急迫保護の要請をおこなったのですが、「個別のケースにはお答えできない。どう判断するかは行政の裁量だ」との回答でした。

 以上のような経緯から、今回私たちが経験した異様な実態についての釈明・謝罪と、この異様な実態が常態となっているのであればその改善を訴えたく、抗議文を送る決心をいたしました。


2、舞鶴市役所による対応の問題点

 上記の対応は、明らかに生活保護制度の趣旨に反しています。

 第一に、木村さんは明確に申請したいと伝えていたにもかかわらず、西支所の職員は生活保護の申請書を渡さず、申請すること自体を阻止しました。申請の意思をはっきりと示しているにもかかわらず申請させないという対応は個人の申請権を侵害する違法行為です。

 第二に、A氏は、木村さんが承諾しているにもかかわらず話し合いの場において私たち支援者の同席を拒否し続けました。A氏は、個人情報やプライバシーを持ち出して私たちの同席を認めようとしませんでした。しかし、木村さん本人が私たちの同席を許可しているのですから、それを拒む権利は行政にはないはずです。

 第三に、木村さんには申請する権利があるにもかかわらず、木村さんが提出した申請書類を「忘れ物」として、西支所はその場では受け取ろうとしませんでした。申請書類を「忘れ物」として受け取ろうとしない行為も申請権の侵害です。

 第四に、京都府が今回の舞鶴市西支所の対応は違法だと述べ、舞鶴市に対し指導したにもかかわらず、西支所は対応を改めませんでした。舞鶴市役所本庁は、十分有効な指導をしなかったばかりか、西支所の対応を支持しました。

 第五に、妊娠中の胎児の血縁上の父親を同一世帯に含めることを迫りました。すでに木村さんはこの方とは連絡を絶っており、現在は法的にも実態としても無関係な状態にあります。そのような人を同一世帯としてカウントすることを強要するのは、明らかに生活保護制度の原則から逸脱しています。


3、私たちが訴えたいこと

 上記のような対応はいずれも到底許されるものではありません。福祉事務所が生活保護申請に来た人の申請権を侵害することは違法です。また、今回のように要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもって保護を開始しなければなりません。

 交渉の過程で、A氏はこの間の生活保護不正受給をめぐる報道も引き合いに出しましたが、職員のみなさんの仕事は、申請者の生活状況をつぶさに調査し、本当に保護を必要とする人かどうかを判断することです。申請に来た人を正規の手続きも踏まずに追い返すことではありません。

 私たちは、西支所の対応に強く抗議するとともに、(1)早急な保護費の支給と(2)当事者への謝罪、(3)なぜこれほどまでに強硬な申請拒否にいたったのかに関する原因究明・釈明と、(4)再発防止に向けた取り組みの実行を切に願います。

以上。




【参考】生活保護の申請権・支給決定時期に関する規定(抜粋、傍線部はPOSSE)


(1)生活保護法 第25条(職権による保護の開始及び変更)
(参照URL:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO144.html
 保護の実施機関は、要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて保護の種類、程度及び方法を決定し、保護を開始しなければならない。
2 保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、すみやかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。前条第2項の規定は、この場合に準用する。
3 町村長は、要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて第19条第6項に規定する保護を行わなければならない。

(2)平成24年度生活保護基準・生活保護実施要領(案)pp.80-81
(参照URL:http://www.kaigoseido.net/seiho/12/20120426133943.pdf
第9 保護の開始申請等
次官通達 第9

 生活保護は申請に基づき開始することを原則としており、保護の相談に当たっては、相談者の申請権を侵害しないことはもとより、申請権を侵害していると疑われるような行為も現(ママ)に慎むこと

局長通達 第9
1 保護の相談における開始申請の取り扱い

 生活保護の相談があった場合には、相談者の状況を把握したうえで、他法他施策の活用等についての助言を適切に行うとともに生活保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、保護申請の意思を確認すること。また、保護申請の意思が確認された者に対しては、速やかに保護申請書を交付するとともに申請手続きについての助言を行うこと。

問(第9の1) 生活保護の面接相談においては、保護の申請意思はいかなる場合にも確認しなくてはならないか。
相談者の保護の申請意思は、例えば、多額の預貯金を保有していることが確認されるなど生活保護に該当しないことが明らかな場合や、相談者が要保護者の知人であるなど保護の申請権を有していない場合等を除き確認すべきものである。なお、保護に該当しないことが明らかな場合であっても、申請権を有する者から申請の意思が表明された場合には申請書を交付すること

問(第9の2) 相談段階で扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取することは申請権の侵害に当たるか。
扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取すること自体は申請権の侵害に当たるものではないが、「扶養義務者と相談してからではないと申請を受け付けない」などの対応は申請権の侵害に当たるおそれがある
また、相談者に対して扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い、その結果、保護の申請を諦めさせるようなことがあれば、これも申請権の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい

以上。
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6割超訪問できず 石巻の仮設「見守り」事業

2012-06-14 23:55:47 | 記事
6割超訪問できず 石巻の仮設「見守り」事業

 東日本大震災の被災者の孤独死などを防ぐため宮城県石巻市社会福祉協議会が仮設住宅で取り組んでいる「見守り事業」で、支援できない世帯が6割を超えることが分かった。プライバシーなどを理由に訪問を断る被災者が少なくないためで、市社協は関係機関などと連携してケアを進める考えだ。

 石巻市には被災地で最も多い約7200戸の仮設住宅があり、約1万7000人が生活している。市から見守り事業を委託された市社協は市内を11エリアに分け、生活支援相談員と、相談員を取りまとめるコーディネーターの計約140人で訪問活動を展開する。

 現在、対象としているのは昨年10月に実施した意向調査で「訪問を希望する」と回答した約2600戸(約7200人)。約3300戸は希望せず、未回答の約1300戸と合わせ約4600戸は見守りができていない。

 市社協によると、訪問を希望しているのは主に高齢者世帯。若い世代などは「生活を干渉されたくない」「仕事で不在がち」といった理由で辞退。地区別では、住民がまとまって入居している雄勝町、北上町などは希望の割合が高く、市街地は低いという。

 石巻市大橋の仮設住宅で暮らすパート従業員の女性(56)は「見守り活動自体を知らなかった。日中は仕事で家にいない。悩みもなく、来てもらう理由がない」と言う。

 こうした状況に、市社協災害復興支援対策課の伊藤勝弘課長は「訪問はあくまでも被災者の意向次第。安否確認のためにも全戸を訪問したいが、強制はできない」と説明する。

 未訪問世帯については、被災者のケア・支援活動をしている保健師やNPO団体と連携して情報を収集。被災者が集会所に顔を見せた際に声を掛けたり、不在票を使って連絡を待ったりするなどの対応を取っている。

 渡波・萩浜エリアのコーディネーターを務める鈴木雅之さん(41)は「小まめに声を掛けていると、最初は訪問拒否だった人が可能になることもある。地道に続けていくしかない」と語る。

 市社協は早ければ今月末から、訪問を希望していない世帯と昨年の調査で未回答の世帯を対象に、あらためて意向を確認する方針だ。


河北新報 2012年5月28日

 被災地の各市町村では、行政やNPO団体などが仮設住宅やみなし仮設住宅を訪問する見守り支援が震災後から継続して行われています。この記事では孤独死の防止や安否確認に関する活動内容が紹介されています。

 仮設住宅やみなし仮設住宅の入居者は、単身世帯や特に高齢者の単身世帯が多く、孤立しやすい状況にあります。また経済的な理由(震災で仕事を失い義援金で生計を立てている、震災前から僅かな年金で生活していたなど)や、移動手段がないため(自動車を所有していない、仮設住宅の立地により市バスなどの公共交通機関が利用しにくい)に病院に通うことが難しく、軽い病気でも大きく体調を崩してしまう方も少なくありません。孤立を防ぎ、ちょっとした体調の変化を見抜くための定期的な訪問による「見守り」は少なからず意味があると思います。また阪神淡路大震災の際に仮設・復興住宅(阪神大震災の被災者向けに県や神戸市などの被災自治体が設けた公営住宅)で発生した1000件を超える孤独の死を防げなかったこともあり、その教訓からもこの支援の重要性は確認できます。

 ただ、残念ながら石巻市では昨年7月に引き続き、今年になってからも1月、4月と孤独・孤立死の発生を防げませんでした。少なくともその1件はご本人が定期的な見守りを希望していなかったようです。記事にも記載されていますが見守りを希望しない住民は少なくありません。しかし、そういった方に何も支援できないのかというと決してそうではないと思います。

 たんなる「安否確認」では、それを希望しない人にたいしては何もできないでしょう。しかしながら、「安否確認」だけではなく、住民と関係をつくるきっかけを工夫して考えることが出来れば、支援をしていく基礎となる関係性をつくっていくことができるのではないでしょうか。必要とされる支援を継続することで支援する人・団体と住民、さらには住民間の交流が深まり、そのなかで訪問を受け入れるようになる方も出てくるかもしれません。もちろん長い時間がかかり、本当に地道な方法ですが。

 震災後1年が経ち、多くの支援団体が被災地から撤退をしています。被災地でもインフラや産業は少しずつ復旧し、多くの場所で震災前の日常が戻りつつあります。しかしその一方で仮設住宅をはじめ、忘れられたかのような被災地も少なくありません。そこでは今もなお生活の見通しが立たず、病気などのリスクが高いまま日々を暮らしている方が大勢いらっしゃいます。この状況を少しでも良い方向に動かしていくために、支援団体は日々の活動を継続していくと共に、今なお苦悩する被災地の現状を社会に投げかけていくことが必要なのではないでしょうか。

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仙台POSSEでは、この度の東日本大震災における被災者支援・復興支援ボランティアを募集しています。ボランティアに参加したいという方は、下記までお問い合わせください。

NPO法人POSSE仙台支部
法人代表:今野晴貴
所在地:宮城県仙台市青葉区一番町4−1−3 仙台市市民活動サポートセンター気付
TEL:022-266-7630
Email:sendai@npoposse.jp
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畑をつくりました!

2012-06-12 22:25:35 | 活動報告(イベント)
 5月19日(土)、扇町四丁目公園仮設住宅にて畑づくりを行いました。晴天の下、総勢20名以上の参加がありました。

 まず、フェンス脇の砂利をならします。乾燥した土から表面の石をスコップでかきあげました。



 次に枕木で長方形の枠を作り、その中に雑草を遮るビニールシートを敷きます。水はけを良くするため、調合した土を低く敷き詰め、その上に黒土をどっさりと盛りました。



 住民の中には自前の道具を持参する農業経験者も多く、作業は和気あいあい、着々と進行しました。昼休憩をはさみつつ、午後からは「花と緑の力で3・11プロジェクト」の鎌田秀夫さん監修のもと、枝豆、ミニトマト、落花生、カボチャ、イチゴなど、様々な苗を思い思い丁寧に植え付けていきました。



 震災前の生活ぶりや近況を述べ合い、同じ時間を共有できたことで、住民同士の関係もいっそう密になりました。収穫まで大切に育てる過程で相互理解が深まれば、困りごとを一人で抱えこまず、誰かに相談するベースにもなります。そうした声を聞き逃さず、POSSEで尽力できることをさらに模索していきたいと思います。



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過労死防止基本法制定講演会に参加しました!

2012-06-10 09:21:12 | 活動報告(その他)


 僕たちPOSSEは5月19日、全国「過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さんによる過労死防止基本法制定講演会に参加してきました。寺西さんは1996年に寺西彰(夫・49歳)さんを過労自殺で亡くされてから、遺族として労災認定を得るために闘ってきた方です。認定後も「過労死を考える家族の会」として、今回のような講演会や署名活動などを行なっています。

 僕はPOSSEでの活動を通して、過労死や労働基準法、労働環境の問題についてその実態や現況を学んできました。しかし、遺族という当事者の視点から過労死に対する見方や苦しみ、制度についての話を聴くことは今回が初めてだったので、労働問題に対して再認識させられたことがいくつもあります。

 日本での精神障害などの労災補償はH22年において、請求件数1181件に対し認定件数が308件と全体の3割にも満たない状況です。それだけ労災認定が難しいということも考えられますが、それ以上に遺族の方を支える団体、社会的な取り組みが脆弱であることの裏返しであるとも考えられます。寺西さんは講演の中で、個別の労災認定闘争・裁判闘争は人生の区切りをつけるための通過点であり、その後が本当の闘いであると仰っていました。その闘いことが自分との闘いであり、社会を変えるたたかいです。今の日本で、このような活動は遺族のような当事者が主体となって推し進められているものが多いです。
 
 しかし、本当にその当事者だけに任せてしまったままでいいのでしょうか。寺西さんのような方たちだけで活動を行なっても社会は変わりません。だからこそ僕たちも社会に対して働きかけをしていかなければならない、そう感じました。僕たちが同じ社会で生きているのであれば、まったくの無関係であるはずがないからです。寺西さんたちが切望する過労死のない社会を築くために、僕もできることから少しずつ始めています。それは署名活動であったり、過労死についての勉強であったり様々です。難しいことではありません。それらの活動はすべて僕たちやその周囲の大切な人を守ることへつながります。僕はそこに社会に対して問題意識を持ち、活動していく意義があると思います。

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宮城県内の社会福祉施設 震災後、職員の3割精神状態悪化

2012-06-05 22:51:01 | 記事
宮城県内の社会福祉施設 震災後、職員の3割精神状態悪化

 東日本大震災発生後、宮城県内の社会福祉施設で働く職員の3割が精神状態を悪化させていたことが、全国福祉保育労働組合(東京)などの調査で分かった。非常事態の中、施設利用者の生命に危険が及ばないよう神経をすり減らしたことや、被災して行き場を失った高齢者らを新たに受け入れたことによる過重労働が心身への強い負担につながったとみられる。

 調査はことし2月、同組合と石倉康次立命館大教授(福祉労働)の研究室が、高齢者や障害者、児童が利用する115施設の職員345人を対象に実施。このうち132人(回収率38.3%)から回答を得た。

 心の状態は、「あまり良くない」が11.9%、「一時、調子を崩したが回復」が17.8%で、震災後に精神的な状態を悪化させた職員は計29.7%に上った。体調は、「あまり良くない」が9.1%、「一時、調子を崩したが回復」が14.9%で計24.0%だった。震災後の勤務状況は、「泊まれる職員は泊まり込んだ」が72.9%。一部施設が避難所になったことなどから、「通常とは別の業務が増えて職員の体制に困った」との回答も26.4%あった。  

 施設利用者の変化については、「健康状態が悪化」「心理的に落ち込むことが増えた」「新しい利用者が増えた」がいずれも2割前後だった。  

 石倉教授は「利用者の生命を守る責任感や、新たな利用者を受け入れて仕事が増えたことがストレスにつながった」と分析。「非常事態に備え正規職員を増やし、他施設との連携体制を築いておくべきだ」と、人手の確保の必要性を指摘している。


河北新報 2012年5月14日(http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/20120514_08.htm

 被災地の社会福祉施設では、震災に伴う新規利用者の受け入れや業務の増加で職員の負担が増加しています。「職員数を増やすことがひとりあたりの負担軽減につながる」という指摘はもっともなことですが、それを各施設の問題に転嫁しては解決とはなりません。
 特別養護老人ホームの例では、2000年に介護保険制度が開始されてから、国の「介護保険は黒字化が進まないから」という理由で施設に支払われる給付金が年を追うごとに減額されてきました。そのため赤字に転落する施設が多く、施設の利用者数が増える中でも新しく職員を雇うことができない、また職員の給料を上げることができないという問題が現場で起こっています。当然ながらその長時間労働や低賃金が理由となり離職も増加しています。

 その状況のなかで各施設が職員数を増やし、他施設との連携に人手を割くことは不可能に近いと思われます。国も2009年に社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に対する基本的な指針を見直し、公示しましたが、実質的な部分である施設に対する運営費や人件費補助といった予算措置は講じられないままです。
 
 行き届いた福祉の提供と職員の労働環境の改善のために国に責任を求めていくことが必要であるでしょう。

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